「メール即レス」だけで休日が終わってない?“見えない労働時間”に支配されない休み方写真はイメージです Photo:PIXTA

休みたくても仕事のプレッシャーで休めない、勤務時間外もスマホをチェックする――知らず知らずのうちに身についた「働き方」や「労働観」によって、疲弊していないだろうか。疲労を積み重ね、それゆえに仕事の質が落ちる、という負のスパイラルに気づいたら「休み方」を見直したい。労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所上席研究員の久保智英氏に、労働現場の疲労の問題点、休み方を変えていくポイントについて聞いた。(取材・文/フリーライター 柳本 操、ダイヤモンド・ライフ編集部)

休日も仕事をしないと追いつかない
やっておいた方が“楽”だから…

「週末に溜まった仕事をするしかないんです」

 都内で働くAさん(40歳)は、諦めのムードでそう話す。いわゆる「中間管理職」になって3年目。部下からの相談や、社内会議、顧客との打ち合わせなどで、平日は朝から夜まで予定が入っていて「いっぱいいっぱい」だ。そのせいで、じっくり考える仕事や手間のかかる作業を週末にこなす日々を過ごしている。

「だからといって、休日に完全に周りとのやり取りをシャットアウトしているわけではないんです。仕事のメールがきたらつい返してしまって……」

 何事にもすぐに対応しないと気が済まない性格ということもあるが、「どうせいつかは返信しなければいけないのだから、保留にしておくことが得策とは思えない。月曜日からはまた新たなタスクをこなさなければならないので、できることは休日でもやっておいた方が自分的に“楽”なのだ。

「会社からは有給は規定日数を必ず取れと言われています。でも、平日の有給を取るために休日はさらに働かなければいけないというのが現状です。休みを取るってどういうことか、だんだんわからなくなりますよね」

 複数のタスク、何事に対しても求められる素早い対応、休日に仕事を持ち込んでしまう――Aさんは「休むこと」を後回しにせざるおえない状況だ。あなたはどうだろうか。常に仕事に追われているような気がするけれど、充実感があるわけでもない。朝、重たい体を無理矢理起こして仕事を始めながら「もっと休みたい」と悩んでいないだろうか。