糖質過多の食事だけでなく
日々のストレスも原因に
食後高血糖を招きやすいのは、当然ながら「糖質の多すぎる食事」だ。丼ものや麺類を食べることが多い、間食で甘い食べ物や飲み物を取ることが多い、また、早食い傾向にある人も血糖値が上昇しやすい。今夜は残業だからしっかり食べよう、と、いつもの定食にミニ丼やうどんを追加するなどの“糖質ダブル食い”をした日は決まって午後の会議で猛烈な眠気に襲われる、という人はまさにこのタイプといえる。
加えて、私たちが日々感じるストレスも血糖値を上昇させる要因になる。
「ストレスフルな環境は、自律神経の交感神経を優位にします。これらは、カテコラミンやステロイドホルモンといった血糖値上昇に関わるホルモンの分泌を高め、日常的に血糖値が上がりやすい状態になります」
では、食事を改善すれば、昼間の眠気は減るのだろうか。山田氏は、メタボリックシンドロームまたは肥満のタクシー会社運転手とコンビニエンスストア従業員101人を対象に、食事から取る糖質量を抑える研究を実施した。1回の食事の糖質量を40g以内におさめ、おかずなどはおなかいっぱい食べて良いとする「ロカボ(Low carbohydrate)食」を続けてもらった結果、3カ月後に、平均体重が減少、肥満指数(BMI) が低下、糖尿病の指数であるHbA1cが減少、LDLコレステロールが低下。また、睡眠時無呼吸症候群(※)の指数(AHI)が大幅に改善する、という結果が得られたという(Diabetes Metab Syndr Obes. 2021 Jun 23;14:2863-2870.)。
「被験者のタクシー運転手さんにアンケートを取ったところ、運転中の眠気が減った方が3分の2を占めていました。少なくともその一部は食後高血糖が改善されたためと考えています」