【子どものいない人生】「産んでない人にはわからない」「自由で気楽でしょ」…自覚なき“子なしハラスメント”が残す傷跡写真はイメージです Photo:PIXTA

世界の先陣を切って少子化が進む日本。2050年には3人に1人が子どもを持たない時代になるという推計もあり「異次元の少子化対策」として、子育て支援や両立支援が進む。しかし「人は結婚して子どもを持つもの」という思考の裏で、そうではない生き方をする人が息苦しさを抱えていることもある。連載『「子どものいない人生」私の選択』の第2回では、子どもがいない女性たちの交流の場を主宰するくどうみやこさんに話を聞いた。(取材・文/フリーライター 柳本 操 ダイヤモンド・ライフ編集部)

子宮の病気を患い
子どもを産めない現実に直面

「子どもがいない女性の中には、苦しさを表現できないまま孤立している人もいる。彼女たちが誰にも気兼ねすることなく素直に気持ちを吐き出せる安全な場所をつくりたい」

 こう語るのは、子どもがいない女性を応援する活動を行う「マダネ プロジェクト」主宰のくどうみやこさん。くどうさんもまた、子どもを持たない女性だ。

 企業での広告・宣伝の仕事を経て、31歳で結婚し退職。フリーランスでインターネットメディアを立ち上げた。頭ではいつか子どもが欲しいと思いながらも仕事中心の生活を送り、自然妊娠をすることもなかった。子どものことが気になりつつも、出産問題は先送りにしていた。

 毎年受けていた健康診断で、42歳の時に子宮の疾患が見つかった。「子どもを産むことは断念するしかない」と医師に告げられ、子どものいない人生が確定した。自分で産むことがかなわないという現実に直面し「もっと早く子供を持つことを真剣に考えればよかった」と悔やんだ。

 女性にとって「産まない」と「産めない」では、気持ちの上で大きな落差があることを知る。道端で赤ちゃんや小さな子どもに会うと、以前はほほ笑みかけていたのに目をそらすようになった。知り合いの子どもの成長を目にするSNSからも距離を置くようになった。

「それでも、私の場合は病気で命に関わる可能性があると言われ、生きているだけで幸せだと思えたこと、また、マーケットをリサーチするという職業柄、自分のことを比較的客観視できたことが、気持ちの切り替えに役立ったのかもしれません」(くどうさん)

 当時、子どもを持たない女性の生き方は取り沙汰されておらず、この先どのように生きていこうか、と考えたくどうさんは、子どものいない女性が自分らしく人生を歩んでいける場づくりを思い立ち、2012年に「マダネ プロジェクト」を立ち上げた。

 マダネ(madane)とは、マドモアゼルほど若くなく、マダムほど落ち着いていないミドル世代に対して名付けた総称だ。