大人には「学生の個性」を丁寧に見ていく時間と余裕が本当にない

 その理由は非常にシンプルで、大人には「皆さんの個性を一人ひとり見ていく時間と余裕がないから」です。

 仮に皆さんも受験勉強の傍ら、ランダムに選ばれた数千人のなかから100人を一人ひとり丁寧に選考するとなったらどうでしょうか。とてもじゃないですが無理ですよね。少なからず、勉強はおろそかになってしまうと思います。大人もまったく同じです。

 皆さんがいい人で、頑張り屋で、やる気があるのはもちろん大人も知っています。しかし、それを確認していく時間がない。そうなったときに学歴を見るのです。

「でも、どうして学歴なの?」と、思いますよね。わかります。

 理由は「その人が頑張れる人かどうかを一発で判断できるツールが学歴だから」です。たとえば、皆さんは次の2人のうちどちらを頑張れる人だと思いますか?

・受ければ誰でも入れる大学に通っているAさん
・東大に通っているBさん

 この情報だけだったら、誰もがBさんを選びますよね。

 今、受験に向かおうとしている皆さんなら、東大志望や難関大学志望がどのくらい必死に勉強をしなければいけないのか知っているはずですから、Bさんの努力量は想像に難くないと思います。

びーやまwakatte.TV・びーやま氏

 ただ、ここには1つ重要なポイントが隠されています。それは「誰でも入れる大学にいるAさんのほうが、実は東大のBさんよりも努力家かもしれない」ということです。もしこの2人の両方に直接会ってみたら、根性や粘り強さはAさんのほうが優れているかもしれません。

 しかし、Aさんは採用側の時間がないという理由だけで、学歴のみの判断で選考から弾かれてしまうのです。

 言いかえれば、Aさんは誰でも入れる大学出身というだけで、自分の強みを発揮する機会も与えられずに勝負から離脱させられてしまいました。どうでしょうか。怖いですよね。僕が学歴は必要だとする理由がここにあります。

 学校では「個性だ」「あなたらしさだ」と皆さんのことを多くの人が受け入れてくれますが、社会に出ると、そもそも個性を見てもらうまでのハードルがめちゃくちゃ高くなるのです。

 もちろん、それを乗り越えてチャンスを掴めればいいですが、非常に過酷な道であることは間違いありません。「門前払い」は当たり前で、基本的にはこういった学歴条件をクリアしたうえで、はじめて話を聞いてもらえます。

 するとどうでしょうか。人気企業は難関大学卒の人ばかりが集まっていきますし、そういった企業からなる社会は当然のように高学歴の人たちで構成されていきます。