明石家さんまに松本人志が放った「キツいボケ」が象徴する「ダウンタウンの革新的な笑い」フジテレビがお台場へ Photo:PIXTA

■『ダウンタウンの今夜は150分アニメデモミー賞』(フジテレビ /1997年)
 フジテレビが河田町からお台場に移転したことを記念した特別番組のひとつ。またしても、アニメをテーマにした番組だが、ゲストなしで3時間近くの特番を二人だけで担当し、懐かしのアニメを振り返りつつ、「なにわ賞」「ラブラブ賞」といった番組独自の賞をアニメに授与するというもの。当時、人気絶頂だった二人は発言に一切の遠慮がなく、「こんな漫画、あったんや?」(浜田)「これなら旧社屋の方が良かったような気がします」(松本)と言いたい放題で、トークばかりの印象が強く残っている番組だ。

■『ダウンタウンの滅多に見れへん!1998年大賞』(テレビ朝日/1998年)
 1998年に起こった出来事をVTRで振り返り、ゲストとトークする年末特番。テレビ朝日とは縁が薄かったダウンタウン(特に、松本)が出演した珍しい番組で、とことんゲストにツッコミまくる二人が目立っていた。例えば当時、メジャーリーグで活躍していた吉井理人が試合でチームメイトのキャッチャーを小突いた話題に関連して、松本が「ずっと座ってるから腹立ったん?」とボケてトークを展開。さらには、陣内孝則の頭を叩いた浜田が逆に殴り返されるなど、年末らしいスペシャル感満載の内容だった。

 他にも80年代後半から90年代にかけては、間寛平と挑戦したホノルルマラソンや、九州の若手芸人のオーディション企画など、今のダウンタウンからは想像もつかない番組も数多く担当していた。

明石家さんまに松本人志が放った「キツいボケ」が象徴する「ダウンタウンの革新的な笑い」『人志松本のすべらない話』 Photo:SANKEI

 翻って2000年代以降は、ダウンタウン自身が企画の中心に座るのではなく、周囲も一緒に際立たせる役割となったことで次々とシリーズ化するスペシャル番組が誕生した。

 それはテレビにとどまらず、ネット配信という新しい場にもマッチした。一例として、芸人たちが笑わせ合う、Amazonプライム・ビデオ配信オリジナル番組『HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル』(2016年〜)は、日本でヒットしただけでなく、このフォーマットが評価され海外でも展開されるなど大きな広がりを見せた。

 活動休止中の松本は昨年12月、「ダウンタウンチャンネル(仮)」を独自の有料プラットフォームで今春にも始めたい、とその構想を語った。それもまた、多くの共演者を巻き込む形であれば、とてつもないヒットを生み出す可能性は高いだろう。