できるリーダーの3つの問いかけ

メンバーがやり方を変えないとき、できるリーダーがすることは、「メンバーが変えられない本当の理由を探ること」です。

1. 「具体的に何に困っている?」

「新しいシステムに移行するのが難しいと感じているようだけど、具体的にどんな点が大変だと思っている?」

こう聞くことで、メンバーが変えられない具体的な障壁が見えてきます。たとえば「マニュアルがわかりにくい」「研修時間が足りない」など、リーダーが解決できる問題かもしれません。

2. 「どんな不安がある?」

「新しいやり方に変えることで、どんなリスクや不安を感じている?」

これは特に重要です。多くの場合、メンバーは新しいやり方で失敗したときに、自分が怒られたり責められたりすることを気にしています。そして怒られないために、一生懸命新しい環境の勉強をしなければいけないと面倒に感じているでしょう。それらのメンバーの不安を言語化してあげることで、メンバーの不安は軽減されます。

3. 「どうすれば変えやすくなる?」

「やり方を変えるのを簡単にするために、どんなサポートがあれば助かる? ぜひ教えてほしい」

メンバー自身に解決策を考えてもらうことで、オーナーシップが生まれます。また、リーダーが気づかないニーズが明らかになることもあります。このときは、「どんな些細なものでもいいから教えてほしい」というスタンスで臨みましょう。そうでないとメンバーも言いづらくて「いえ、大丈夫です」と当座をごまかす発言をしてしまいます。

「だって」を引き出す/リーダーが推測する

メンバーの「だって」を引き出すことも重要です

「新しいやり方をためらっているようだけど、どうして?」と聞くと、

「だって、こっちのやり方の方が確実だし……」
「だって、ただでさえ忙しいのに新しいシステム勉強する時間なんてないし……」

といった返答が返ってくるかもしれません。

この「だって」は、一般的には言い訳がましい内容と感じられてしまいますが、ここにこそ本音が隠されています。むしろ積極的に「だって」を話してもらうことが、いわゆるオープンなコミュニケーションをするために重要です。

さらには、メンバーに聞く前に、リーダーが相手の「だって」を推測してあげましょう。「もしかしたら、こういうことを考えているかもしれないな」とリーダーが推測するだけで、メンバーとの距離は縮まっていきます。

メンバーに関係する変化を言語化する

メンバーが変化を嫌うのは、その変化が得体のしれない巨大なものに見えているからかもしれません。

人間はそもそも変化を嫌う生き物です。やらなければいけないとわかっていても、自分にどんな変化が起きてしまうかがわからなければ不安で仕方がありません。「組織として変化しなければいけない」という話と、それによって「個人にどういう変化があるか」は別問題です。そこをリーダーが言語化してあげましょう。

仕事のやり方、待遇、業務量など、そのメンバーにとっての変化を言葉にできれば、相手の不安は一気に小さくなります。