日本人のほぼ100%が英語を学んでいるはずですし、大卒者のほとんどは第二外国語も学んでいるはずです。ですから、だれしもある程度の英語の知識をもち、大卒者なら第二外国語の知識もあるはずです。
すでに学んだことのある外国語を引き続き勉強する場合、4技能を同時に磨くことが理想的です。ただし、まったく新しい言語をゼロから学ぶときは一定の「沈黙期間」を設けるべきだという専門家が多いようです。
沈黙期間とは、リーディングとリスニングのみを磨く期間のことです。初期はその2つに絞ったほうが、なまじっか4技能すべてに神経を分散するよりも理解力が向上しやすいわけです。
じつは人間は母国語を習得するときも、しばらく「沈黙期間」を設けています。
赤ん坊を観察すれば一目瞭然ですね。赤ん坊は沈黙期間中、両親や兄弟などまわりが言っている内容を理解しようと努めます。
したがって、ある言語を初めて学ぶ際、しばらくは沈黙期間を設けるほうが自然であり、理解力が向上しやすいのです。
もっとも、沈黙期間を設けず一刻も早くスピーキングを練習したい人もいると思います。
海外出張が決まった、外国人観光客がよく訪れる職場に就職した、外国人の恋人ができたなどの事情がある人は、悠長なことを言っていられません。
嫌にならない程度にスピーキングの練習を取り入れるといいでしょう。
話せなくても英語は「できる」
ユーチューブでは、再生回数を稼ごうとしてか“魔法の杖(つえ)”があるかのような動画が多数あります。“短期間でペラペラになれる”といった動画を見て「私もペラペラになりたい」と思う人もいるでしょう。
しかし、自問してほしいのです。「外国語がペラペラになって、誰と何を話したいのですか?」と。
留学したい、ビジネスで活かしたい、海外に移住したい……など、確固たる目標がある人は、会話の練習も大いに意義があります。
しかし、確固たる目標をもたないまま、(ペラペラしゃべれたらカッコいい)と単なる憧れだけで会話の練習を始めても、挫折しやすいように思います。
実際、私が英会話講師をしていた頃、ペラペラになることに憧れて入学してきたものの、すぐ嫌になって練習を投げ出す生徒を多数見てきました。
5歳の日本人の子供をイメージしてみてください。日本語はペラペラですよね。でも、小説や人生論、論文などが読める子はまずいないでしょう。