「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美を与えないと頑張れない子になりそうで不安」など、幼児の時と比べて、親の悩みが尽きません。小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決するには「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

思うことがあっても言わずに、子どもの行動をよく見る
自分から進んで宿題に取り組む子がいます。親御さんに聞くと、「特に何もしていないです」と言っていました。教師は教えるのが仕事です。「何もしていない」という回答に、とても興味が湧いたのを覚えています。
宿題を自分から進んでできる子には、2つのパターンがあります。
1.学校から帰ってきたら、すぐに宿題をする
2.朝の時間を活用して、宿題をする
すでに規則正しい行動パターンがあって、宿題を習慣化できているのです。毎日のルーティンをしっかりと守る。大人でも難しいことを子どもができるのには、理由があります。
とにかく子どもをよく見る
私はこれまで多くの保護者の方々と話してきました。その中で、自ら進んで学ぶ子の親の行動に共通点があることがわかったのです。
「口出しせず、よく見る」
大事なことは、子どもが「どのように時間を使っているのか」をよく見ることです。「宿題をやったの?」とは、言いません。言ってしまうと、子どもは「お父さんお母さんは、宿題をやっていない」と思ってしまうからです。
やるべきことはたった一つ。子どもが何をしているのかを興味をもって見ることです。宿題をやっていないだろうと思ったときは、
「宿題をやったの?」
ではなく、
「今日はどんな楽しいことがあった?」
と聞きます。
「サッカーの授業は楽しかったよ。でも、算数の授業が難しかったんだ~」と話し始めたとします。そのときは、
「そうだったんだね。算数の宿題を一緒に手伝おうか?」
と声をかけます。
「いいよ。自分で頑張る!」と言えば、そっと見守りましょう。
「手伝ってほしい~」と言ってきたら、全力でサポートします。あなたがどんなに忙しくても、です。
「そんなこともできないの?」「ちゃんと学校で勉強しているの?」とは、思っても言いません。ぐっと我慢しながら、子どものできているところを見ます。
今はできていないかもしれない。でも、その学年でできていなくても、心配する必要はありません。いつかはできるのです。子どものいいところだけを見ながら、近寄ってきたときにサポートする、それだけです。
無理に近寄ると、いいことはありません。NGワードに気をつけながら話しかけることで、たとえ表情に出さなくても、子どもは「親が自分を見てくれている」と感じ、安心感を覚えます。
(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)