【常見の解説】
業界のルールを変えることの模索を応援したい

 プロレス界のルールを変えるという姿勢に激しく共感した。プロレスをめぐる環境は常に変わっている。私の幼少期のように地上波のゴールデンタイムにプロレス中継が放送される時代ではない。小規模の団体も増え、多様化も進んだ。駐車場や小さなライブハウスから、東京ドームまで様々な会場で試合が行われる。世界に旅立つレスラーも増えた。

 一方で、業界内のマインドセットは以前と変わらず、プロレス業界の中で閉じていると三富は見ている。実際、前回のこの記事も、プロレス関係者からは完全にスルーされた。過去に、三富をビジネス文脈で取り上げた記事もそうだ。これも業界の内向き志向といえよう。
 
 プロレスファン以外のファンを取りに行く姿勢、客単価を上げる取り組みなどはもっと注目されていいはずだ。型破りな公演を行う一方、そこには地道な努力がある。プロレスのプロデューサーという、日本に存在していそうで、実はほぼない仕事を自らつくろうとしている姿勢にも共感した。

 一方、その模索の苦悩、葛藤を吐露してくれたことにも感謝している。また、会社員時代にもっと学んでおけばよかったという話も。何かを作ること、変えることは簡単ではない。その模索を応援したい。
慶應→博報堂→プロレスラーに転身した男が「もっと会社員をやっておけば…」と後悔するワケ