映画「ラストマイル」は今そこにある危機!「物流システムへの攻撃」がただ事じゃないPhoto:PIXTA

興行収入50億円超の大ヒット映画『ラストマイル』は、大手ショッピングサイトの荷物が次々と爆発する謎の事件に、満島ひかりさん演じる巨大物流倉庫のセンター長が立ち向かっていく姿を描いた。実は、フィクションではなく現実の物流現場でも、事件は起こっているという――。港湾システムへのサイバー攻撃の事例と、政府の対策の最前線を紹介する。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です

名古屋港が狙われた!
サイバー攻撃対策に新ガイドライン

 国土交通省は2024年11月に「港湾分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン(第1版)」の改定作業を開始し、25年3月末までに改定第2版を取りまとめる。改定版ガイドラインでは、サイバー攻撃への対応強化策を具体的事例ともに提示する。

 23年7月5日、名古屋港運協会ほか関係団体は、ランサムウェアの感染が原因で名古屋港の全てのコンテナターミナル内で運用している名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)に障害が発生したと発表した。

 障害を確認したのは前日の4日だった。障害発生の結果、5日のトレーラによるコンテナ搬出入作業が中止され、翌日午後に一部のターミナルで作業が再開されたものの、丸一日コンテナの搬出入がストップした。

 ターミナルオペレーションシステム(TOS)へのサイバー攻撃が甚大な影響をもたらすことを重く見た政府は、同月に国交省内に「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会」を設置。官民一体でセキュリティ対策を強化する方針を決め、ガイドラインを改定するもの。