ビジネス会話においては、質問の使い方で相手の答えの質が大きく変わる。話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、「質問をするタイミングの見極めが必要」と言います。本記事では、プレゼンの場を「一方的に説明する場」から「対話の場」に変えることを提案した『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

「会話がつまらない人」が無意識にやっている“致命的ミス”
相手に問いかけたあとは受けとめるための「間」を充分にとりましょう。
すぐ後追いで言葉を発しないことです。
「今回の業務改善プロジェクトにおいて、特に力を入れたいポイントはありますか?」
「えーと」
「(間髪入れず)メンバー構成とか、進捗(しんちょく)管理の方法とか」
「うーん、まあ、それで言ったら進捗管理ですかねえ」
なんということのない会話に見えますが、実はこれ、2番目の問いかけにおいて、相手の自由な発想を妨げている場合があります。
相手がぼんやりと何かを思いつきかけているタイミングで、「たとえば〇〇とか、〇〇とか」と具体例を挙げて質問をしてしまうと、その選択肢に発想が限定されてしまうことがあります。
「そりゃ本音出ないわ…」会議でやりがちな“あと追い質問”の罠
それだと結局、あとあとになって、「実はあの時に、あれが気になっていたんだよな」ということになりかねません。
仕事では効率が重視されるため、「思いつく選択肢をざっと挙げ、その中からぱっと選ぶ」というスタイルが習慣化していることがよくあります。
さらに、商談や打ち合わせの場では、「私は知っています」「私は細部にまで気を配っています」ということを無意識にアピールしようとする心理が働きがちです。
その結果、「あと追い問いかけ」が生まれるのです。
「今回の業務改善プロジェクトにおいて、特に考慮したいポイントはありますか?」
「えーと……」
「……(待つ)」
「そうだな……」
「……(待つ)」
「そうだ、メンバー選出の際の、各部署への働きかけ方が気になっています。前回、 けっこう苦労したんですよね」
「間をとれている例」のように待ってみましょう。
相手が考える時間を与えることで、自由な発想を促すことができます。
相手が話している時は、言うなれば相手にとってのプレゼンの時間。
あなたが自分のプレゼンで間を大切にするように、相手の間もまた、尊重しなければなりません。