こうなると下っ端には悲哀がつきまといます。一生懸命考えて計画を提案しても、偉い人がピンとこなければ採用されずに突き返されます。何度か書き直してようやく承認された計画は、偉い人が角を削って丸くした計画書ということになっています。
さらに、実行したばかりで、まだ成果など出るわけがないタイミングからCheck(評価)が始まって、偉い人からあれやこれや言われるのです。Checkはビジネスプロセスをブラッシュアップする手段であるのと同時に、Checkをやる側がマウントがとれるという従業員支配のツールにも変質します。
会社を腐らせる「コンサルっぽい人」が
増え続けているワケ
こうして職場の中には「PDCAとか すぐ言うやつ」に対するルサンチマン(憤り)の心が生じるようになったというわけです。
Pの地位が低下したことで、日本企業に悪い副作用も起きました。中期計画の劣化です。中期計画というのは企業がこれからの3年間、どのように成長していくのかを考える計画です。単年度ばかりの計画では目先の経営になるということで、この中期計画を作ることが大企業の流行になりました。
本当であれば、企業の経営基盤をどのように変えていくのか、時間がかかる変革プランを考えることが中期計画の本筋でした。しかし、Pの地位低下にともなって中期計画でも単年度計画と同様に現在の延長線上でやれる「つまらない中計」が世の中の主流になり、これに若手社員の経営批判の矛先が向いています。
さて、コンサル業界にはPDCA以外にも経営に有効なツールがたくさん発見され、活用されています。それぞれ、使い道をきちんと選んで要所要所で使えばいいのですが、実際にはこんなことが起きます。