有名なビジネスの格言で例えると、たとえばドリルを持っているコンサルがやってきて、「君はドリルを知らないの?こうやって穴をあけるんだ」といっては穴をあけていきます。そのうちトンカチを持ったコンサルがやってきて、「釘が出ているね。僕が上から叩いていこう」とどんどん釘を叩き始めるのです。

 手にドリルを持った人は穴があいていないことが問題だと考え、手にトンカチを持った人は叩ける場所がたくさんあることが問題だと考えるというのがこの格言のポイントです。そしてドリルやトンカチを始めて見た人はそれらの道具を使える人に一目置く。そんなことがくりかえされることで、道具を欲しいと思う人がビジネスの世界に増えていきます。

 ドリルやトンカチはあくまで比喩です。コンサルが使うさまざまなフレームワークのツールには普通のビジネスパーソンには見慣れないものも多いのです。

 そして、これらのツールの使い方は書店に行けば、いくらでも紹介した本が手に入ります。その結果、職場の中にフレームワークでビジネスを語りがちなコンサルっぽい人が出現し始めることになりました。

 コンサルがよく使うトンカチはフレームワーク以外にもビジネススキルがあります。たとえばコンサルには、「4つ共感して、1つ意見する」というスキルがあります。

 コンサルは経営者の相談相手になったうえで、より正しいと思えることを相手に納得させるのが仕事です。その際、いつも意見ばかりしていては相手に煙たがられます。

 そこでスキルとしては経営者との会話でなるべく多く「そうですね」「その通りです」「そうなんですよ」といった肯定的な相槌を多用します。反論する必要がないことに対しては全部いちいち肯定するのです。

 そのうえで本当に重要なところだけ意見をします。すると経営者も、「いつも共感してくれるキミがそう言うのだから、その点は考え直さなくてはいけないのかな」などと考えてくれたりするものです。