「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学にいけば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。それほどまでに大学受験の持つインパクトは大きくなっています。そんな難しい時代でも「自分らしい大学進学」をするために書籍:『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』が発売されました。本書は、きれいごとを抜きにして、「大学受験とはどういうものなのか」「人生とはどういうものなのか」を考えることができる受験の決定版です。本記事では発刊を記念して本文の一部を抜粋・再編集してお届けします。

受験生Photo: Adobe Stock

大学が求めている人材の「本質」

 一般的に大学受験は「学力」が大事であると思われています。一般入試はその最たる例ですし、推薦入試でも学校での成績が必要ですから、このように思われるのは当然のことでしょう。

 しかし、受験で問われている本当の能力は「学力」ではありません。先に答えを言うと受験を通して皆さんが試されている能力は「問題解決力」です。

 この「問題解決力」を簡単な言葉に言いかえると、「苦手なことに向き合い、改善する力」です。前述しましたが、最初からすべての問題が解ける人なんていません。誰もが苦しみながら前に進んでいきます。

 その粘り強さと、合理的に解決に向かっていく思考力を持っているかをたしかめるのが受験です。

 もし、大学受験が「学力」だけを求めているのだとしたら、努力でどうにかなる余地を残さずに進学校に通っている学生だけに絞って試験をすればいいでしょう。

 しかし、そうではなく、誰でも平等に試験を受けられるようにしているのは、学力だけで人材を判断しないためです。「中学校までは勉強が苦手だったけど、高校で苦手を克服して頑張っている人」「まだ苦手なことは多いけど、目標に向かって頑張れる人」など、現状を改善していく意志のある人を発掘するために今の入試方式になっているのです。

 毎年必ずといってほど話題になる「逆転合格」は、こういった人材を取りこぼさないために残された適切な運用あってこそでしょう。

 その意味では、大学は「学力が高い人」ではなく、「勉強を続けられる人」を求めているのです。

 どう思いますか? 頑張れば誰にでもチャンスがあると思いますよね。その「誰にでも」のなかには当然皆さんだって含まれています。