「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美を与えないと頑張れない子になりそうで不安」など、幼児の時と比べて、親の悩みが尽きません。小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決するには「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

自分で判断する癖を生活習慣に組み込む
子どもの失敗は歓迎ですが、親の声かけの失敗は避けたいもの。「やってみたい」と言われたときに、「まず全力で応援する」というスタンスを貫きましょう。
結果として続かなくて3日で飽きてしまったとしても、
「だから言ったでしょ」
「最初からそう思っていたんだよね」
などとは、口が裂けても言いません。続けることはとても難しいことです。まずやろうと思ったことを褒めましょう。
やり始めたら、たいてい失敗します。誰でも失敗すれば、あきらめてしまったり、やめてしまったりするものです。そうならないよう、
「挑戦したから失敗できたんだよ」
「この経験を活かして、もう少しやってみよう」
と促します。親も一緒に挑戦しながら伴走するのもいいです。
何をするか悩んでいる子には、
「こっちにしたほうがいい」
「あなたのため」
などと言わず、
「どっちがいいと思う? あなたが決めたことを応援するよ」
と声をかけます。
「うちの子なら絶対できる」と心から思っていれば、自ずと子どもの成長を後押しする言葉が出てきます。笑顔で、まっすぐ我が子を見て、声かけをしてください。
生活習慣を自分で決めて守る
子どもの失敗の多くに、「友達もみんなやっていたから、やってしまった」があります。
大多数の友達に、我が子も流されてしまう。ある意味当たり前なのですが、ここで、「僕はしない」「私はしない」と言える子に育ってほしいものです。大事なのは、家庭でも自分で判断する癖をつけることです。まず、生活スケジュールを自分で決めるところから始めましょう。
・朝何時に起きて、何をする
・帰ってきたら、まず何をしてから遊ぶ
・何時に寝るから、何時までに何をする
ここでのポイントは、「最初はできることが多い」ことです。約束を守っているときがチャンスです。
「自分で決めたことをしっかり守れていいね」
と伝えましょう。
問題は1週間を過ぎたあたりから発生します。親も気にしなくなり、子どもの生活リズムも乱れていきます。そこで行なうことは、親が根気強く見守り、声かけし続けることです。
3週間継続できると習慣化すると言われています。特に無意識でできるまでの3週間は、親の習慣化だと思って、子どものできたことを常に伝えるといいでしょう。
心理学者で精神分析医のエリク・エリクソンの「発達心理学における自律性の発達段階」によると、子どもは、自分の選択に対して責任をもつ環境を与えられることで、自信が育まれ、自分の判断を信じる力が強くなると言われています。
親がすべてを決めるのではなく、自分で判断することが大事だとわかります。親の役割は、子どもが自分の力で成長し、自立していく手助けをすることです。だからこそ、教えるのではなく、子ども自身が判断する癖をつけることが重要なのです。
(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)