トランプ大統領Photo:Andrew Harnik/gettyimages

ロシアウクライナ戦争や米中対立など、世界情勢が不安定になる中、資金力のある富裕層においては、いざというときのために住む場所の選択肢を増やしておこうという人が増えてきている。筆者は、富裕層だけでなく、ゆくゆくは幅広い層においても、こうした移住トレンドが活発化していくと考える。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

トランプ大統領が
永住権の高額販売制度を公表

 トランプ米大統領は、新たな永住権制度「ゴールドカード」の販売を開始すると発表。これにより、多額のお金(500万ドル、日本円で約7.5億円)を払えば、米国の永住権を取得できる仕組みが導入されることになりました。

 これまでのEB-5(米国に投資することで居住することができるが、申請に年単位で時間を要する永住権プログラム)とは異なり、より直接的に永住権を「販売」する形になる可能性が高いです。

 今、富裕層からこのゴールドカードが注目される理由は、3月1日未明に行われたトランプ・ゼレンスキー会談にあります。SNSでも広く拡散された動画は、世界の安全保障が今後再構築されるであろうことを全世界の人間に知らしめました。

 そもそもは2013年のオバマ元大統領の「アメリカはもはや世界の警察ではない」との発言から始まるわけですが、米外交方針が大きく変化し、「自国は自国で守る」という方向に世界のルールは大きく変わっていくということが印象付けられる内容でした。

 自分の住む場所の安全性を、自分自身で、より真剣に考えなければならない時代になってきたといえます。そうした中、富裕層のみならず、ゆくゆくは一般層も海外移住を真剣に考えるようになるのではないかと、私は考えています。