
孫正義氏率いるソフトバンクグループが、半導体設計の米アンペアを1兆円規模で買収すると発表しました。そんな孫氏に対抗してAI時代の覇者を狙うのが、米国のイーロン・マスク氏です。他方で、孫陣営とマスク陣営のそれぞれに“等距離外交”を仕掛けるグループもあります。AI覇権争いは、新テクノロジーの陣取り合戦、さながら三国志の様相を呈してきました。(トライズ 三木雄信)
「AI覇権争い」の勝者は誰だ?
テクノロジー三国志が胎動
孫正義氏率いるソフトバンクグループが、サーバー向けの半導体を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドル(約9700億円)で買収すると発表しました。需要が高まるAI(人工知能)分野で、開発力を高めるのが狙いとみられています。
アンペアは、ソフトバンクグループ傘下の半導体開発大手、英アームの技術を活用して半導体を設計しています。買収が完了すれば、アンペアとアームの連携強化がいっそう期待できるでしょう。
2025年に入ってから孫氏の動きは早く、1月には米オープンAIと連携し、米国でAI関連のインフラ整備、巨大データセンターを建設する投資計画を明らかにしました。
そんな孫氏に対抗して、AI時代の覇者を狙っているのが、米国の実業家イーロン・マスク氏です。1月、トランプ米大統領が孫氏や米オープンAIのサム・アルトマンCEO、ソフトウエア大手オラクルのラリー・エリソン会長らをホワイトハウスの記者会見に招き、総額約78兆円に上るAI事業への投資を発表しました。
マスク氏はそうした動向がよっぽど、うらやましかったのでしょうか。会見の直後に、「彼らはそれほどお金を持っていない」「孫正義は落ち目」などと批判だか嫉妬だか分からない、悔し紛れな発言を投稿していました。
片や、実はソフトバンク陣営とマスク陣営の他に、もう一つのグループがあります。それは、この二つの陣営それぞれに“等距離外交”を仕掛けているグループです。
AI時代の覇者をめぐる戦いは、まさに三国志のような激しい動きを見せ始めています。陣取り合戦の動向、三番目の陣営はどこか、詳しく追っていきましょう。