
人生における不安が最も高いのが「50代」という調査結果がある。50代は住宅ローンや子どもの学費が減る年代。一方で、習い事や趣味を始める人も多い。忘れていたバブル時代の買い物癖が復活し、急に自分への消費が拡大したくなるが、値段が気になり、口コミを確認してから買うなどかなり慎重な面もある。親の介護や年金生活など漠然とした将来への不安を抱え、役職定年で給与は半減。精神的にも落ち込みがちなのも50代だ。50代の消費の特徴を知り、将来への不安を減らすにはどうしたらいいのか、その方法を探る。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
自分へのご褒美は買い物、ブランド品大好き!
「幸せにはお金が必要」と考える50代
50代前半の頃、丸山航さん(仮名・現58歳)は、これまでで最も賃金が高くなり、有頂天になって自分へのご褒美として買い物をすることで幸福度を高めていました。
小さい頃は高度成長期で親の商売が成功し、裕福な暮らしをしていました。バブル時代は、求人が多く、友人の半数は大企業に入社。丸山さんもその一人でした。
ブランド品を見せ合ったり、タワマンを購入したことを自慢したりしていました。物価が上がっていましたが、遅くまで働いて会社の業績も上がり、その評価として賃金も上昇していて、それが自信にもつながっていました。
丸山さんのように「幸せにはお金が必要」という意識が他の世代よりも強いのが50代の特徴です。
その後、バブルが弾けて失われた30年に突入すると、海外旅行ができない、ブランド品を購入できない、夜は豪華な飲食店に行かなくなるなど我慢の連続でしたが、丸山さんは自身の住宅ローンの返済や子供の教育費の捻出などに必死で、消費について考える間もありませんでした。
50代になり、丸山さんはその長年の我慢から、ようやく、解き放たれました。手元に残るお金が増えて自由な時間も増えたのです。
ところが、そんな生活はすぐに不安に変わりました。役職定年で給与は激減、転職することも考えられず、眠れない日が続くようになりました。
どうすればこの不安を取り除くことができるのか。
丸山さんは、自分が将来、入所するための老人ホームを探してみたり、週末は実家に帰省して親の介護をしてみたりして、「将来」について行動に移してみました。それでも、ますます不安だけがつもるばかりでした。
実は、丸山さんのような50代は多く、そのまま鬱になる人もいます。