石破首相の“商品券配布”で誰もツッコまない、「お土産のセンスが悪い」という大問題石破首相の商品券問題でもっと論じられるべきは、そのセンスの悪さではないだろうか Photo:JIJI

石破首相の「商品券」問題では
野党やメディアも人のことを言えない?

 石破茂首相が公邸での新人議員との会食のお土産に、10万円の商品券を配布――。

 このニュースには、ただただ呆れるばかりでした。しかし私が呆れたのは、メディアや政治家の思いと理由がかなり違います。「政治資金規正法違反だ」「即刻辞任せよ」と威勢のいい叫び声が飛び交い、石破首相の支持率も急降下しましたが、そのわりに野党やメディアの攻勢は迫力を欠くと、読者の皆さんも感じているのではないでしょうか。

 政界で高額の商品券やお土産が横行していることは、永田町やメディアの誰もが知っています。それでも、まさかこの時期に、簡単に明るみに出るような形で高額の商品券が配られるというのは、お粗末としか言いようがありません。

 ただし、長年永田町文化を見てきた私は、もっと高額な商品や会食が自民党だけでなく野党の議員にも振る舞われており、記者や政治評論家にもその恩恵を受けている人々がいるということを知っています。石破攻撃をしながら、「早くこの騒動が終わって、自分たちの『おねだり体質』まで明らかにしてほしくない」と思っている人の方が多いはずです。

 テレビ番組で杉村太蔵氏(元自民党国会議員)が「僕からすると“過剰反応”じゃないかなっていうのは正直なところです」とコメントしていましたが、これがこの世界の住人の本音でしょう。実際、官房機密費が多くのジャーナリストに支払われていることを暴露した元官房長官もいます。

 もちろん、カネやモノが国民にとって常識外れに動く永田町という世界を正しいとは、私も思っていません。しかしそれよりも、石破首相には「新人議員を労い、家族の苦労に報いたい」のが目的だったとしたら、商品券はあまりに愛情を欠いた贈り物だということに、気づいてほしいと思います。