会費制とはいえ、会合はそれほど安価な店ではできません。会費5000円と言いながら、もう少し高級なお店を用意します。野中氏は前日に必ず参加者の名前と人数を聞いてきて、京都の珍しいお土産を皆さんに配ります。あるときなど、京都で一番と言われる山の松茸がお土産。ただし、これは数が人数分なかったので、ジャンケンで取り合いました。

 いつも驚くのは、細やかに出席者のことを考えた珍しい品物を用意されていることでした。そして、「政治家と記者がズブズブになったら、民主主義はおしまいや。私はもう政治家やないし、教訓になる話は記者の方に覚えておいてほしいので参加していますが、記者1人1人のことも知りたいので、お話を聞いてお土産を決めています」とのこと。

 一方で、自分がつれてきた政治家との付き合いはその後もあるか、彼らは土産物を持ってきたか、ハイヤーの運転手をただ待たせるだけでなく食事代を渡していたか、などと細かいことまで聞いてきて、その後、それらを怠った政治家に注意をしていたようです。

古賀誠氏がお祝いにくれた焼酎
「腰のいかんばい」の正体

 野中氏の縁で古賀誠氏には、記事のための話を聞くようになりました。私は現役ではないので、部下の記者も同道させます。会うのは必ず赤坂の安価な居酒屋。空いている土曜日に九州料理を楽しみます。

 古賀氏は「秘書あがり」と自分で言うように、気配りができて、お酒を注文するときは「どうしてもここの名物を飲んでください」と言います。どんな銘酒かと思いきや、当時レアモノだった新潟の「越乃寒梅(こしのかんばい)」をもじった九州焼酎「腰のいかんばい」(笑)。私が局長に昇進したときにも、お祝いにこの一升瓶をいただきました。そんな高額なものではありませんが、いい想い出です(この原稿を書くためにこのお酒を調べたのですが、赤坂のお店はもうなくなり、「腰のいかんばい」も検索できませんでした。ひょっとして、お店が古賀氏用に用意した特製のラベルを貼って、遊んでいただけなのかもしれません)。

 なんだか政治家と癒着しているような話ばかり書きましたが、前述の例はすべて、私が雑誌の編集長を退いてからのことです。「政治家は贅沢より気配りが人の心を掴む」ということが言いたいのです。