大企業が賃金を収奪! 「階級社会」の不幸#1Photo:francescoch/gettyimages

2025年春闘も5%超の賃上げが期待できそうだ。しかし、企業はどの世代にも平等に賃上げをしているわけではない。新卒就職時に苦労したロスジェネに、また不幸が襲いつつある。特集『大企業が賃金を収奪!「階級社会」の不幸』の#1では、大企業が就職氷河期世代の年収を下げ続けた実態を解き明かす。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

春闘賃上げ第1回回答「5.46%」で前年超え
「中高年層への配分抑制」杞憂は解決されるか

 2年連続となる歴史的な高賃上げの実現が現実味を帯び始めた。

 日本労働組合総連合会(連合)がまとめた2025年春闘の賃上げ要求(定期昇給相当分を含む)の平均は6.09%で、32年ぶりに6%を上回った(下表参照)。24年春闘の平均賃上げ率は5.10%と33年ぶりに5%を超えたが、それを上回る強気な要求だ。

 そして25年春闘のヤマ場を迎えた3月14日。連合が発表した第1回回答集計によれば、平均賃上げ率は5.46%で前年同時期から0.18ポイント上昇した。

 インフレや人手不足といった外部環境や好調な企業業績、政府の要請といったさまざまな要素が後押しし、今年も5%超の賃上げが達成できそうな情勢だ。

 ただし、誰もが賃上げの恩恵を受けられているわけではない。

 初任給を大幅に引き上げる一方、中高年層への配分を相対的に抑制するなどの傾向が見られた──。

 25年春闘に向けた連合の闘争方針にはこんな指摘がある。賃上げが一律ではなく、中高年は置き去りにされているという現場の悲鳴だ。これを踏まえ、今春闘では、「賃上げの配分についても労使でしっかりと協議し、全ての人の生活向上をめざす必要がある」と連合は掲げている。

 実は、連合のこうした懸念は杞憂ではなかった。厚生労働省の公式データで、残酷な事実がひっそりと浮かび上がったのだ。