また、全ての精液の質に関する指標は全死亡と負の関連を示し、精液の質が低いほど死亡率が高くなるという量反応関係が認められた。ただし、無精子症の人よりも、精子が少しだけ(TMSCが0〜500万)存在する人の方が死亡率が高かった。

 例えば、TMSCが1億2000万超の男性の死亡のハザード比(HR)を1とした場合、無精子症の男性では1.28(95%信頼区間1.12〜1.46)、TMSCが0〜500万の男性では1.46(同1.35〜1.59)であった。

 この研究結果をレビューした米スタンフォード大学医学部泌尿器学分野のMichael Eisenberg氏は、「精液の質と寿命の間に関連があるという事実は重要な発見だ」とCNNへの電子メールで語り、「これまでの研究でも、生殖の健康と全般的な健康の間にこの関連があることは示唆されている」と付け加えた。

酸化ストレスが関わっている可能性

 また、本論文の付随論評を執筆したニューカッスル大学(オーストラリア)名誉教授で生殖保健の専門家でもあるJohn Aitken氏は、「男性の場合、将来の健康とウェルビーイングに関する最も重要な情報を提供するのは精液プロファイルの可能性がある」と述べる。

 専門家は、精液の質と寿命の間の関連には酸化ストレスが関わっている可能性があることに同意している。酸化ストレスとは、フリーラジカルと呼ばれる不安定な分子が体内に蓄積し、精子を含む細胞やDNAにダメージを与える現象のことをいう。

 Aitken氏は、「酸化ストレスの全体的なレベルを高めるあらゆる要因(遺伝的、免疫学的、代謝的、環境的、またはライフスタイル)が、精液プロファイルとその後の死亡率のパターンに変化を引き起こすとするのは合理的な考え方だ」と記述している。(HealthDay News 2025年3月5日)

https://www.healthday.com/health-news/men-health/men-with-stronger-sperm-may-live-longer-study-finds

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