いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

出来事の「全体像」を見れるかどうか
瞬時に判断すれば状況や相手を迅速に正確に分析できる、と思いたいところだが、「根本的な帰属の誤り」を犯している場合にはそうはいかない。
つまり、全体像を考えずに(例:「あの人は駐車禁止取り締まりの仕事をしているだけ」)、行動を「相手の性格のせい」(例:「何、あのバカ」)にしてしまう。
誰か(自分や大切な人もふくむ)に対して偏見を持ったり悪いと決めつけたりすると、一歩下がって何が起きているのかを広い視野で見られなくなる。
それでは誤解するだけでなく、不必要に憤ってしまう。
一部ではなく「前後の文脈」を見る
他人とのやりとりは、前後の文脈がかぎりなく大切だと認識しよう。
そうすることで健全な解釈ができるようになる。
たとえば、誰かについて最悪な話をつくり上げていたが、現実はそういうわけではなかったケースを思い返してみよう。
授業中にサングラスをかけている=態度が悪い?
印象的な例をスタンフォード大学のジェフリー・コーエン教授が著書『Belonging: The Science of Creating Connection and Bridging Divides(帰属感:関係づくりと分断に橋をかける科学)』(日本未翻訳)に書いている。
授業中にサングラスをかけていた学生を「態度が悪い」として叱った教師がいた。
しかし、その学生は目の周りの青あざを隠していただけだった。こういった事実の歪みを思い出すだけでも、イライラを好奇心に変えられるはずだ。
「根本的な帰属の誤り」に陥らないように、コーエン教授は次のように勧めている。
目を大きく見開き、社会の流れを見渡すよう心がけ、心の体操をして思い込みをストレッチする。
最近イライラした状況を思い出し、そこに幅広い説明を考えてみよう。相手を好意的に解釈し、状況が許すなら説明を求めればいいのだ。