相手の不機嫌な態度は「自分のせい」とはかぎらない

ある日のセッションで、社会不安障害を持つクライアントが、「僕にイラついていますよね?」と聞いてきたときには嬉しくなったほどだ。

私は彼に対してイラついてなどいなかった。当時私は妊娠中で、たまたまつわりがひどい日だったのだ。

しかし、クライアントは非常に敏感な人で、私の様子がいつもとちがうことに気づいた。おまけに心配性で、自分は嫌われていると思い込む傾向があった。

彼は「根本的な帰属の誤り」を犯した――私の気に障るようなことをしてしまったと思い込んだのだ。

そこで私はすぐに自分の余裕のなさを謝り、理由を説明し、聞いてくれて本当にありがたいと伝えた。彼に聞く勇気があったおかげで気持ちが近づいたし、「とっさの判断はよく確認しなければいけない」ということを改めて学べた。

出来事を「寛大に解釈する練習」をしよう

自分や他人をどう解釈するか、それを改善できるような視点を他にも見つけてみよう。

ノースウエスタン大学教授で心理学者のイーライ・フィンケル氏が主導した研究では、60組の夫婦に最近の夫婦げんかについて20分程度、文章を書くよう依頼した。

その際、「関係者全員にとって最善を望む中立的な第三者の視点」から書くように指示した。

そして、次に誰かと衝突したときにもこのテクニックを覚えておくようにアドバイスした。するとその後の1年間、この練習を実践した夫婦は、この練習をしなかったグループよりも夫婦関係に幸せを感じていたという結果が報告された。

出来事を寛大に解釈するには最初は努力が必要だが、慣れてくると、自分自身の中にも他人とのかかわりの中にも心の平安を得られるようになるのだ。

『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。