ずば抜けて実務能力が高くなくても人より成果を上げられる人は何が違うのか。
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション・木下勝寿社長の『「悩まない人」の考え方』と『時間最短化、成果最大化の法則』がベストセラーとなっている。
木下氏は「私は実務能力がずば抜けて高いわけでない。だが①悩んでいる時間の短さと②タスク管理能力の高さだけは突出しているかもしれない」という。①と②にそれぞれ対応したのが上記2冊。そこで「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。今回は「仕事のやりがい」についてだ。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

社長の一番の理想とは?
「私にとって理想の会社の形とは何か」
たまに布団の中で考える。
すぐ浮かんできたのが、
「自分が無能になって社員から捨てられるのが一番の理想」
というものだった。
社長の一番の理想とは?
一体どういうことか。
仮に世の中には1000個の業務があるとする。
そのうちあなたは100個が好きで得意だったとしよう。
創業者というのは、その100個だけで起業する。
つまり、後の900個はやらなくていいビジネスを立ち上げるわけだ。
その場合、新入社員でも1000個のうち100個の業務ができるとしよう。
このとき、社長ができる業務が100個ある。
そして新入社員ができる業務も100個あるが、そのうち10個だけ社長とかぶっているとする。
つまり、このとき、会社としては「10個」しか業務ができない状況だ。
残り90個は仕事ができるキャパはあるのに、その会社に仕事がない状況となる。
「無能になって社員から捨てられる日」
そんなときに、めちゃくちゃ優秀なBさんが入ってきた。
Bさんが圧倒的成果を出して新たな90個の違う仕事をしたとすると、社長の業務「100個」に加え「90個」の新業務が加わり、会社全体で「190個」の業務をこなせるようになった。
こうやって会社は大きくなっていくのだ。
このとき、社長は190個の業務のうち100個はできるが、残り90個はできない。
この90個は「できる社員」がやってくれている。
できる社員ができる部分を増やしていくと、相対的に社長の存在価値が薄れるかもしれない。
だが、客観的に見ると、その状態はむちゃくちゃ良い状態といえる。
社長一人だけで頑張っている会社はその時点でアウトなのである。
だからこそ、私は「無能になって社員から捨てられる日」を夢見ている。
どうか、社員のみなさん、その時がきたらやさしく捨ててください。
(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)