こうした食品を中心とした小売事業だけにとどまらず、地域の課題解決をサポートする様々なサービスも幅広く整えている。例えば、2021年からサービスを開始した「こまるとCOOP」は、日常のちょっとした困りごとを解決する個人向け雑事代行サービス。また、料理が作れない人のための「夕食宅配サービス事業」は、高齢者の在宅支援と安否確認が目的だという。このほか、北欧の子育て方法を取り入れた保育園「アウリンコ」も運営している。

 DXを推進して様々な業務改善に取り組む一方、福祉や子育て、環境など多岐にわたる分野で問題解決へと「つなぐ」事業など、直接的な会員サービスの向上だけでなく地域のサポートにも取り組んでいる。北海道という広域でサービス提供できるインフラができ上がっており、それを基盤にして加入者(住民)に寄り添った地域貢献活動を推進している。

 過疎地も含めて広域できめ細かなサービスを提供していることに感服するとともに、こうした企業の姿勢を心から称賛したい。

行政がカバーできないことを
民間が補えば双方にメリットあり

 今では住民票などいくつかの証明書についてはコンビニでも取得できるが、利用箇所をスーパーマーケットやドラッグストアなどにも拡大できないだろうか。役所の窓口に行かなければできない手続きも多く、平日仕事をしている人は日中出向くことは難しい。そこで、知恵と技術を駆使して地域に根差した様々な事業活動をしている民間企業の力を借りることができれば、行政サービスにもっと気軽にアクセスできるようになる。

 福祉や子育て支援など行政では十分にカバーできない領域を、既に民間企業が担っている。行政がすべて自力で住民サービスを担うことが難しいのであれば、もっと民間企業に頼ってもいいし、もはや頼らざるを得ない状況になりつつある。行政サービスの向上につながるよう、ソリューション開発及び展開をしている民間企業との協業を進めるべきである。

「行政の仕事を支援したい」「行政と一緒に地域貢献する仕事をしたい」と考えている民間企業やNPO法人、スタートアップは地方にもたくさんある。金融決済系やライドシェア、買い物代行、地方創生・地域おこし、事業承継、空き家問題、婚活ビジネスなど、様々なビジネスアイデアを募って業務を一緒に進めていけば、住民サービスの拡充や地域の魅力度アップ、行政側の業務量削減など多くのメリットを享受できるようになる。