「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2024」で「言語化」が大賞に選ばれるなど、「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

【言語化のプロが指南】「話が分かりやすい!」と言われる人がこっそりしている習慣とは?Photo: Adobe Stock

自分の伝え方が適切かのセルフチェックは難しい

話したり書いたりするだけでなく、「人に話してフィードバックをもらう」ことも、言語化力を鍛えるうえで有効な方法です。

なぜなら、自分の発する言葉が適切か、相手にどう見られているか、きちんと伝わっているか――などを、客観的に確認できるからです。

自分では分かりやすく説明したつもりでも、相手に意図が伝わらなければ、社会人の言語化としては不十分です。言葉というのは、たくさん費やしたからといって伝わるとは限りません。むしろ、短い言葉でパキっと伝わるほうが言語化としてはレベルが上です。

人からフィードバックを受けることで、自分の言語化の甘さやあいまいさ、論理の飛躍、言葉足らず、不要な情報など、ウイークポイントに気づくことができます。

事前に適切なフィードバックを受けていれば、たとえば「『お客様を幸せにする』とは、具体的にどういうこと?」と聞かれた際に、当意即妙に答えることができます。

適切な言語化ができている人は、即座に要点を伝えることができるほか、相手が理解しやすい表現を選ぶことにも長けています。

一方、言語化が苦手な人は、抽象的な言葉やあいまいな表現が多くなり、結論や理由、論理性などもぼやけがちです。

自分の言語化をセルフチェックするのは難しいもの。ふだんから積極的にフィードバック(=忌憚のない意見やアドバイス)を受けるようにしましょう。

フィードバック内容を次回以降の言語化に活かすことによって、少しずつ言語化力を高めていくことができます。

 *本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。