「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2024」で「言語化」が大賞に選ばれるなど、「言語化」という言葉を耳にすることが増えた。「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」のどれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の著者・山口拓朗氏が、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

普段、自分がよく使っている言葉を封印するだけ
普段よく使う言葉をあえて封印すると、語彙力が鍛えられ、表現が豊かになります。私たちは日常的に「いい」「悪い」「かわいい」「おいしい」などの言葉を頻繁に使いますが、これらに頼りすぎると、表現の幅が狭くなりがちです。
たとえば、「いい」という言葉を封印し、代わりに「適切」「理想的」「魅力的」「価値がある」と言い換えるだけで、言葉の具体性(=解像度)が高まります。「悪い」も、「不十分」「問題がある」「適切ではない」などに置き換えることで、より正確にその意図が伝わります。
ほかにも、「かわいい」を「愛らしい」「チャーミング」「キュート」に言い換えたり、「おいしい」を「風味豊か」「味わい深い」「絶品」に置き換えたりすることで、文章や会話に幅や奥行きが生まれます。
このトレーニングを続けることで、日常の表現がより洗練され、会話や文章の説得力も増します。置き換え言葉が出てこないときは、ウェブ検索や生成AIのサポートを受けつつ類語を確認しましょう。言葉のバリエーションが増えれば増えるほど、「言語化する意欲」と「言葉にする喜び」が高まっていきます。
*本記事は、「『うまく言葉にできない』がなくなる 言語化大全」の著者・山口拓朗氏による書き下ろしです。