アメリカでベストセラーとなり、多くの称賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグは、マッキンゼー出身でウェルビーイング研究の第一人者。本書が指摘するのは、私たちが無意識のうちに陥る「思考と行動の癖」だ。これこそが、仕事の停滞やストレスの正体である。
「やることは多いのに、なぜか進まない」「気づけば時間ばかりが過ぎている」そんな状態に心当たりがあるなら、頭の中が余計な判断と迷いで溢れているのかもしれない。本稿では本書をもとに、仕事が早い人の頭の中をのぞいてみよう。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

なぜあの人はいつも仕事が早く終わるのか?
「気づいたらもう夕方。まだ今日の仕事が終わっていない……」このように感じることはないだろうか?
朝は「今日はこれを終わらせよう」と意気込んでいたのに、メール対応や急な依頼に追われているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまう。
気づけば、本当にやるべきタスクに手をつけられず、焦りとストレスだけが募る。
一方で、同じような仕事量でも、スムーズにタスクをこなし、定時には仕事を終わらせる人もいる。この違いはいったい何なのだろうか?
日々のストレスの多くは、やるべきことや管理すべきことが多すぎるせいで生じる。このことに気づかない人が多い。
──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
「仕事が終わらない……」そう嘆いている人の多くは、目の前のタスクに追われ続け、余裕がない状態になっている。こう指摘するのは、マッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者であるブラッド・スタルバーグだ。
締め切りに間に合わない、次々と仕事が舞い込んでくる、やるべきことが山積み……。
こうした状況はストレスを生み出し、さらに集中力や判断力を低下させてしまう。
「いちいち考える時間」を減らす
仕事が早い人は、単にスキルが高いわけではない。彼らの決定的な違いは「仕組み」を持っていることだ。スタルバーグは、「ルーティン」の重要性を説く。
ルーティンがあると、1日の流れが確実に予測できるし、混乱のさなかでも秩序が保たれているような感覚になる。さらに、自動的に行動するようにもなる。自分を奮い立たせたり、次に何をすべきかを考えたりといった余計なエネルギーを使わなくても、淡々と物事に取りかかることができる。
──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
仕事が早い人の多くは、日々の業務にルーティンを取り入れている。朝のスタートを決めている、メールのチェック時間を固定している、タスクの進め方に一定のパターンを持っている。
仕事が早い人は「いちいち考える時間」を減らしているのだ。
一方、仕事が終わらない人は、その都度「何をすべきか」を考える時間が発生し、無駄な迷いが生じる。
集中が切れ、そのたびにやる気を出そうとするから、結果的に疲れやすくなる。これでは、作業がはかどらないのも無理はない。
「小さな勝利」がモチベーションを高める
また、仕事が早い人は「小さな達成感」を積み重ねるのが上手い。タスクを細分化し、「やった」と思える回数を増やしているのだ。
どんなに小さな勝利──1文を書く、ちょっとジョギングする、キルトの1ピースをかぎ針で編む、洗濯するなど──でもドーパミンという神経化学物質が分泌される。この神経化学物質が分泌されると、何であろうともやり続ける意欲が湧く。
──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
一方で仕事が終わらない人は、「このタスクをやり切らないとダメだ」と完璧を求めがちだ。しかし、むしろ細かく区切って「できた!」という感覚を増やすほうが、結果的に生産性は上がる。
仕事を効率よく終わらせるために
まず、ルーティンを作ることが重要だ。毎日の仕事の流れを決め、取りかかる時間や休憩のタイミングを固定することで、余計な判断を減らせる。
次に、タスクを細分化し、「小さな達成感」を積み重ねることを意識するとよい。1つの作業に長時間向き合わず、適度に区切ることで、モチベーションを維持しやすくなる。
そして、いちいち迷わないことも大切だ。仕事の進め方をパターン化し、「次に何をするか」を考える時間を減らすことで、スムーズに作業を進めることができる。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容を一部抜粋・編集したものです。