「夜間頻尿が増えたら警戒すべきこと」専門医が教える「睡眠と尿」の怖い話写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人の睡眠時間は世界で最下位というデータもある。不眠に悩む人が多い現代社会だが、一方で、「眠りすぎ」も健康に悪影響があるのだという。ベストの睡眠時間はどれくらいなのか?歳をとるとなぜ早起きになるのか?夜中に何度もトイレに起きてしまう原因は?睡眠専門医の著者が、「質のよい睡眠」をとるためのコツを解説する。本稿は、白濱龍太郎『「寝つきが悪い」「すぐに目が覚めてしまう」人のお助けBOOK』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

眠りが浅い「レム睡眠」には
ストレス解消効果がある

 睡眠時間が十分にとれていれば、身体的な疲労が回復できるばかりか、ストレス解消の効果も出てきます。

 睡眠には、眠りが浅くて体が休んでいるのに脳は動いている状態のレム睡眠と、眠りが深くて体と脳の両方が休んでいる状態のノンレム睡眠があります。

 このうち、体の疲労回復効果が高いのは、体も脳も休むノンレム睡眠のとき。

 ところが、ストレス解消の効果があるのはレム睡眠のほうで、その状態にある時間を十分に確保するには、短時間の睡眠では足りません。レム睡眠の状態は、一晩の睡眠の後半になればなるほど長くなっていくからです。

 レム睡眠の状態になった脳では、その日に得た情報の整理と定着が行われます。ストレスに対する処理もレム睡眠の中で行っていますが、体の疲労を回復するよりも時間がかかります。

 そのためには、7~8時間ぐっすり眠る必要があります。

 なお、ノンレム睡眠の中で得られる深睡眠のうち、段階3は徐波睡眠と呼ばれ、脳波がゆるやかな波になる状態。脳の大脳皮質を冷却させる時間であり、疲労回復のために欠かせません。

 徐波睡眠は眠ってから最初の30分~1時間後と、2~3時間後に現れるため、そのあとから深睡眠になります。

 したがって、最初の4時間以内に深睡眠がとれるかどうかが大事になるわけです。

 質のよい睡眠とは、適切な睡眠時間をとったうえで、徐波睡眠を得られること。レム睡眠とノンレム睡眠が交互に切り替わり、だんだんと眠りが浅くなる朝方に自然な目覚めに向かうのです。

レム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しが理想同書より転載 拡大画像表示

「寝れば寝るほど健康になる」
のは大きな間違い

 睡眠不足が健康に悪いことは、誰でもわかっていることでしょう。7~8時間ぐっすり眠ることが大事だと、すでに書いたとおりです。

 その一方で、眠りすぎもよくありません。この眠りすぎについてはあまり認識していないという人は多いようですが、「寝れば寝るほど健康になる」と考えるのは大きな間違いです。

 眠りすぎてしまったときに、目が覚めると頭痛がして頭がクラクラしたことはありませんか?