これは二日酔いのような状態なので「睡眠酩酊」とも呼ばれ、時差ぼけのときにも同様のことが起こります。
昼になってから起きたとしても、脳は起きた時間を朝と認識してしまうので、体内時計のリズムが狂って現れるのです。
頭痛だけでなく、長時間同じ姿勢で寝ているために血行不良になって、肩や背中のだるさを感じたり腰痛を起こしたりすることもあります。
下のグラフは、睡眠時間と死亡との関連性を調べた研究結果です。
10時間以上に及ぶ長時間睡眠の人は、7時間睡眠の人に比べて死亡リスクが増加しています。
男性は全脳卒中で1.7倍、全循環器疾患で1.6倍になっているほか、どの疾患でも増えています。女性も全脳卒中で1.7倍、全循環器疾患で1.5倍になっています。
長時間睡眠と死亡リスクとの因果関係は、現時点ではまだ不明ですが、眠りすぎが体によくないことは間違いなさそうです。

日中ボーッとしてしまう人は
「隠れ不眠」の可能性あり
慢性的な睡眠不足に陥っていると、体の不調を感じてしまうことがあるかもしれません。借金のように積み重なって蓄積された睡眠不足を「睡眠負債」といい、増えていくと、免疫力の低下だけでなく、あらゆる不調を引き起こす原因となります。また、集中力が低下してつまらないミスをしてしまうなど、パフォーマンスが著しく落ちるおそれもあります。
睡眠不足が原因で、自分が本来もっている能力を生かせなくなっているとしたら、とても大きな損失になります。
このような「出勤しても、頭や体の不調のために本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態」をプレゼンティーイズム(疾病就業)といいますが、この状態によって出ている日本の経済損失は、実に1380億ドル(約20兆円)に達しているともされています(米・ランド研究所2016年発表)。
このプレゼンティーイズムの原因として、肩こりや腰痛、頭痛、胃腸の不調、軽度のうつ状態、花粉症などのアレルギーなどが挙げられます。