2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

「不幸だと思える出来事」に感謝できれば、「人生のポイント」を獲得できる
たとえば、1000人の人がいたとして、そのうち990人が「それは不幸ですね。それは大変ですね。それは、おつらいでしょうね」と感想をもらす出来事があったとします。
その出来事を「990ポイントの出来事」と位置づけましょう。
そして、「990ポイントの出来事」に直面しても、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句」を言わないで我慢できたとき「990ポイント獲得した」と考えます。
さらに、「それは不幸ですね。それは大変ですね。それはおつらいでしょうね」と言われたことに対して、「いえ、感謝しています」と言えたなら、さらに同じポイント、この場合では「990ポイントが加算」され「合計1980ポイント獲得した」と考えるのが、「小林正観・理論」です。
「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんは、父親が米相場で失敗して以降、小学校を中退し、奉公に出されたそうです。
兄弟を結核で次々に亡くし、松下さん自身も「肺せんカタル」を患ってしまいます。お金も、家族も、健康も、学問もない状況に直面しながら、松下さんは決して絶望することはありませんでした。
それどころか、一般的には「不幸で、かわいそう」という状況に追い込まれても、「ワシは運が強い。ワシは運が強い。ワシほど運が強い人間はいない」と、ずっと言い続けていたそうです。
「学校に行かなかったから、わからないのが当たり前。だから人に尋ねることができた」「体が弱かったから、仕事を人に任せようと思った。その結果、人が育ち、会社が育った」というようなことを、松下さんは、おっしゃっていたそうです。現象はゼロで、その現象に対して評価をするのは「自分自身」です。
そして松下さんは、「ツイてる」ととらえた。その結果として、たくさんのポイントを獲得したのだと思います。
私は、「松下幸之助さんのポイントは、数兆ポイント(松下さんが生きているときの年間最高売上)までいったのではないか?」と思っています。
松下幸之助さんの実績は、このように論理的に説明できるようです。
一般的に「不幸だ」と考えられる出来事に、文句を言わない。そうするとポイントを獲得できるらしい。
文句を言わないだけでなく、「感謝」できるようになると、さらに「同じポイント」が上乗せされるらしい。
この「方程式」がわかってしまうと、「不幸だと思える出来事」こそ、たくさんのポイントを獲得できるチャンスだということに気がつきます。
私には、知的障害を持った娘がいますが、毎日ニコニコ楽しそうに生きている彼女のおかげで、「人間は、努力したり頑張ったりする必要はなく、喜ばれる存在になることが目的なのだ」という、「幸せの本質論」に至ることができました。
知的障害児の親となれば、1000人のうち999人くらいの人から、「おつらいでしょうね、大変でしょうね」と言われることでしょう。
けれど私は、すべてを受け入れている(感謝している)ので、たくさんのポイントを獲得しているのかもしれません。