ゲームは競技性を増すほど娯楽から離れて苦難の道のりになっていくがやはりそれでも「ゲーム」であり、Tarouくんのこのたびの発信は、Tarouくんの「国内有数の上手さ」「YouTubeで稼げている」といった肯定的要素を差し引いたとしても、「ゲームをやりたがる子どもに中学行かないでゲームをやらせることを許した」というふうに、現在の社会的土壌からすると、どうしたってそう見られがちになってしまったのであった。

 そのせいか、いやむしろそのせいだと思うが、XのTarouくんのアカウントにはすさまじく意地悪な誹謗中傷がたくさん投稿されている。内容や文体の幼稚さからTarouくんと同年代(もしくは精神年齢が幼稚な年長者)の人らによる投稿だと思うが、あれは一刻もはやくやめられるべきである。

 意見を伝えたいならそれなりのフォーマットがあるわけで、誹謗中傷はする方が悪いに決まっている。あれを行っているのは子どもたちの可能性が高いので、ぜひ保護者の方々に注意を払ってほしく思う。

 わが子がSNSをどのように使っているかなんて知るよしもないだろうが、親のちょっとしたどぎつい独り言を聞いた子どもたちは、ネットがびっくりするくらい身近にあるのでその言葉をそっくりそのまま、相手に直接伝えるくらいは平気でしてのける。

 そうでなくとも、わが子の抱える屈託をTarouくんの今回の発信が刺激してしまった可能性は十二分にありえる。もしTarouくん一家の選択が面白く思えなくてもTarouくんに誹謗中傷を寄せていい道理にはならないということを、ぜひ今一度親子で確認されたい。

ゲームで育つ
コミュニケーションスキルとは

 あと長めの蛇足だが、中学に通わないことでTarouくんのコミュニケーションスキルの発育を心配する声が結構あるので、これに関して持論を延べておきたい。

 最近のゲームは社会性や他人との交流が前提となっているものが非常に増えてきてる。ゲーム内でコミュニケーションを取る方法がなくても、Discordといったコミュニケーション用の外部アプリを用いるのが主流である(そうした世相が踏まえられて、Nintendo Switch2では新たに「チャット機能」なるものが搭載された)。

 つまり、ゲームもコミュニケーションの発育を促すのに相当適した場であるといってよい。むろん現実には現実の、ネットにはネットの、そこにしか漂っていない現場の空気感や機微といったものはあるが、ともに根幹にあるハードは「対人コミュニケーション」であり共通している。