
野沢雅子さんといえば生きながらすでにレジェンドといえる、日本を代表する声優である。彼女がサプライズで先日ドラマ出演したことでネット上では老若男女が歓喜の声を上げ、その人気をあらためて実感することとなった。(フリーライター 武藤弘樹)
野沢雅子さんのサプライズ出演に
大盛り上がりの視聴者
テレビドラマ『119エマージェンシーコール』(フジテレビ系)の第9話に野沢雅子さんがサプライズでゲスト出演したのは3月17日のこと。これが瞬く間に話題となって、SNSでトレンド入りし、その出演の様子を伝えるネット記事が異なる媒体で次々に作成・公開されるなどした。
野沢雅子さんといえば誰もが知る国民的キャラクター悟空、鬼太郎(と目玉のおやじ)、鉄郎などが代表作として知られる日本を代表する声優である。ちょっとサプライズ出演しただけで列島を席巻するその人気ぶりはさすがの凄みであり、野沢さんがいかに愛されているかが改めて伝わってきた。
野沢さんの出演の様子は、トレンドになっただけあって話題性があって面白かったのでぜひ触れておきたい。知っている方もおられるだろうから、本稿では簡単に説明しておく。
同ドラマは、119番通報を受けて対応に当たる消防局指令課が舞台となっている。市内で土砂崩れが発生し、いくつもの通報が寄せられる中で、現場の近所に住む面倒見の良さそうな老女からの通報が入るのだが、その通報者が野沢さんであった。
しかし最初は野沢さんとはわからない。声に張りがあって並々ならぬ演技力を感じさせる電話向こうの通報主だが、話し始めは「不安や心配で高揚するご近所の老女」という趣きである。
しかしその声を聞いていくうちに、聞き馴染みのあるような抑揚や、特徴的な強い子音の使い方から、何割かの視聴者は「これ野沢雅子さんみたい」と仮説をひらめく。そしてその耳でさらに聞き進めるともはや野沢雅子さんに間違いなく、「これ野沢さんでしょ?」「一度気付いたら悟空にしか聞こえなくなった」とざわついた。
その後その老女が、救急隊が入ってくるために瓦礫をどけようとして「ハァー!」と掛け声を発する場面では「かめはめ波を撃った」「悟空が災害救助に当たってくれる現場とかなんて安心感」と大盛り上がりで、視聴者は思わぬところで野沢さんとその神の如き熱演に遭遇できたことを喜んだのであった。