これが、女性読者の心に火をつけることになった。投書だけにとどまらず、女性読者からの電話がひっきりなしにかかってきたうえ、当時存在していた「編集部ブログ」へのコメント欄への書き込みも多数寄せられた。
「私だって我慢してきた」
女性読者が重ねた“自分の物語”
ここでその一部を引用するのは率直に言ってはばかられるので、ご興味のある方は国立国会図書館や大宅壮一文庫(編集部注/ノンフィクション作家・大宅壮一のコレクションを元に設立された、雑誌の総合図書資料館)のサービスで取り寄せていただきたいが、基本的には西尾論文に同調し、「皇室の伝統をなんだと思っているのか!」と義憤をあらわにするものが大半を占める。
ちなみに、記事化されなかった女性読者たちの言及で印象的だったのは、「私だって、嫁いだ後は嫁ぎ先の文化を受け入れて我慢してやってきた」「跡継ぎになる男子を産めというプレッシャーは私にだってあった」といったものだった。

ゴシップと皇室を思う大義のはざまに位置するこの問題は、さらに「嫁ぎ先で苦労した私たち」という我が身との体験を通じて、多くの女性読者たちの興味関心を掻き立てることになったのだ。
2024年現在の皇室・皇族批判は、週刊誌が燃料を投下、それを受けてネットが燃え上がるというサイクルを繰り返し、荒唐無稽な陰謀論まで巻き込んでおぞましい状況を呈している。
さらには真面目に専門家が語るほかなかった皇室問題も、こうしたネタの1つになりつつある。男系男子旧皇族復帰論や、愛子天皇論などがそれだが、男系・双系(女系容認、直系継承)派の争いは、もはや南北朝の再来の様相を呈している。
「雅子妃問題」の提起から15年以上が経過し、皇太子が天皇陛下に、雅子妃が雅子皇后となった現在、両陛下に対してどのような思いを抱いているのだろうかと聞いてみたくなる思いがする。
もしかすると、眞子様のご成婚問題や悠仁親王の進学問題などで、秋篠宮家をバッシングする側に回っているかもしれない。