「やる気」を引き出す前に、障壁を取り除く

多くのリーダーは「どうやってメンバーのやる気を引き出すか」を考えますが、実はメンバーのやる気を阻害している障壁を取り除くことが先決です

心理学者フレデリック・ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」によれば、不満要因(衛生要因)を取り除かなければ、動機づけ要因が機能しないとされています。

つまり、「もっと頑張れ」と動機づける前に、「なぜ頑張れないのか」という障壁を特定し、取り除く必要があるのです。

そして、「やる気を出せ」ではなく「障壁は何か」を探ることから始めましょう。

できるリーダーは、「やる気を出せ」と叱咤するのではなく、メンバーが直面している障壁を特定し、それを取り除くことを考えます

「最近、君からやる気が感じられないね。もっと積極的に仕事に取り組んでほしいんだけど」と話しかけても無意味です。柔らかい口調で話しかけても無駄です。

これでは、メンバーを追い詰めるだけで、根本的な問題解決にはなりません。

メンバーに声をかける際は、「やる気」という言葉を避けましょう。

代わりに、次のような問いかけが効果的です。

1.「何がわからないのか」を引き出す

「このプロジェクトで、特に難しいと感じている部分はどこかな?」「この業務で、もっと明確にしてほしい点はある?」

メンバーが「何をすべきかわからない」状態なら、具体的な指示が必要です。

2.「何に躊躇しているのか」を探る

「前に進めるために、あと何が必要だと思う?」「このタスクを完了させる上で、気が進まない業務はある?」

メンバーが自信を持てず躊躇している場合、背中を押す言葉や具体的なサポートが必要です。特に、(能力的にはできるが)心理的に気が進まない業務の場合、仕事のやり方を伝えたり、モチベーションを上げようとするだけでは状況は変わりません。

3.メンバーの「言い訳」を引き出す

「締切に間に合わせるのが難しいとしたら、それはなぜだろう?」「もっと早く動き出せない理由があれば、教えてほしい」

メンバーが言えずに抱えてしまっているポイントを引き出します。多くの場合、そのポイントを口にすると「言い訳」と受け取られ、拒絶されてしまいます。しかし、この「言い訳」こそに、メンバーが動けない理由があるのです。