リーダーが腹を割って話しても意味がない

メンバーのモチベーションを高めたり、メンバーの心理的安全性を高めるために、リーダーが腹を割って話すことが有効と語られることがあります。過去の失敗を打ち明けられたり、リーダーが率先して「自分もわからない」とさらけ出したりすることが大事と言われますね。

しかし、本当にそうでしょうか? もちろん、機械的に接している冷淡な人と見られるよりは、人間的な側面があった方が愛着がわきそうです。

しかし、だからと言ってメンバーが「やる気」を出すとは限りません。

居酒屋で上司の過去の苦労話を聞かされて、喜ぶメンバーがどれほどいるでしょうか?

むしろ「そんなどうでもいいこと語ってないで、助けてくれよ」と思われている可能性も十分にあります。

リーダーが意識を向けるべきは、「自分のことをメンバーにわかってもらうこと」ではなく、「メンバーのことを自分が理解すること」ですよね

もしメンバーが仕事の意義を見失っていたら

メンバーが「こんな仕事をして何になるんだろう?」と考えていたら、仕事にエネルギーを発揮することはかなり難しくなります。

これはぼく自身もサラリーマン時代に経験しました。すごく生意気な言い方ですが、自分が扱っている商品サービスがくだらないものに見え、「誰がこんなの使うんだよ??」と思っていました。

ビジネスパーソンとしては大失格ですが、とはいえ「そんなことを感じてはいけない」と建て前で自分に言い聞かせても意味がありません。

もしメンバーがこのように感じていたら、扱っている商品サービスの価値を伝えなければいけません。

この場合の「価値」は、「誰かに与える変化」です

消費者やクライアントには、「やろうとしてできなかったこと」があります。それをあなたの商品サービスを利用することで「できるようになる」。

もしそういう変化を提供できているのなら、あなたの会社・あなたの商品は非常に有意義なものだと言えます。

リーダーがそれをメンバーに伝えてあげてください。そうすることで、メンバーは日々仕事に向き合う意義を取り戻すことができます。

「やる気」ではなく「障壁」に焦点を当てる

繰り返しになりますが、「やる気が感じられない部下」に対処する最も効果的な方法は、「やる気を出せ」と言うことではなく、メンバーが直面している障壁(できないこと、難しいこと、心理的に嫌なこと)を特定し、それを取り除くことです。

そんなこと自分でやってほしいと思うかもしれません。それも一理ありますが、「自分で何とかしろ」では状況は変わりませんね。

リーダーの役割は、メンバーを責めることではなく、メンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることにあります。

メンバーの「やる気がない」と感じたら、それはリーダーにとっての重要なシグナルです。

「何かが阻害している」と捉え、原因を探る対話を始めてみてください。多くの場合、思いもよらない障壁が見つかり、それを取り除くことで状況が劇的に改善することでしょう。