メールが読みやすくなる!
箇条書きをマスターする3つのコツ
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

読みやすいメールを書く人が自然に使っている技術・ベスト3Photo: Adobe Stock

箇条書きを書くときはこれを意識!

メールやチャットで複数の情報を伝えたいとき、シンプルに文章だけで表現しようとすると、文字がぎゅっと詰まったようなものになり、読みづらくなってしまいがち。

ところがビジネスシーンでは、理解するのに時間がかかる文章は嫌われます。

読み手は、「結論(で、自分はどうすればいいの?)」を早く知りたいものです。

次のメール文を見てください。

ここでは伝えたいことが3つあるのですが、すべて文章で表現すると「見る」だけで判断できず、「読む」という行為を強いられます。きっと小池部長はスルーしたくなるでしょう。

読みやすいメールを書く人が自然に使っている技術・ベスト3

そこで、次のように伝えたい3点を「箇条書き」にしてみるとどうでしょう。

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こうすることで視認性が向上し、より少ない時間で内容を理解できるようになります。

加えてここでは箇条書きするにあたり、次の3点を意識しました。

①「区切り線」を入れる
「ここからは質問」など、本文と見た目を差別化させたいときに使います。区切り線を入れることで、伝えたい箇所に視点を集めて、読み手の負担を軽減できます。

②「ガバニング」を入れる
ガバニングとは直訳で「統制する」、ビジネスの文脈では「頭出しのまとめ」を意味します。今回なら「ご相談と進捗共有が3点あります」がまさにそうです。

あらかじめ「3点」と書いておくことで、相手は「伝えたいことが3点あるんだな」と意識しながら読み進めることができます。

ちなみに例文では、3点のうち①が相談、②と③が共有事項なので、次のようにまとめてもわかりやすくなります。

読みやすいメールを書く人が自然に使っている技術・ベスト3

ガバニングは箇条書きだけでなくプレゼンにも有効で、スティーブ・ジョブズも使っていました。いきなり本題に入るのではなく、「今日は3つのことについてお話しします」と言うだけでも聴衆の関心を引き寄せ、より長く持続させられるはずです。

③質問や相談には「番号」を振る
このメールを受け取った小池部長が「新規顧客プレゼン資料」についてだけ返信しようとしたシーンを想像してみてください。
「新規顧客プレゼン資料」といちいち打つのは面倒ですよね。

そこで先回りして、こちらから論点に対して1、2、3と番号を振っておきます。こうすることで、相手は「1は成川課長に相談しましたか?」のように返信を省力化できます。

質問や相談は相手の返信を求めるものなので、こうした先回りの気づかいができると「仕事ができる人だな」と思ってもらえるはずです。

庄子錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子 錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。