現在から未来を見通すのではなく、実現したい未来から現在に向かって遡(さかのぼり)りながらプランニングします。
「手持ちのザクがないから補給を待つ」と現状から一手目を思考したドレンに対して、「V作戦の情報を手に入れる、できれば連邦のモビルスーツを手に入れる」という三手目のために必要な二手目として「補充ザクによる攻撃」を考えるなら、一手目として「敵情理解のための偵察」を思いつくのは、我々でもできそうです。
人は、つい目の前のことに熱中しがちなものです。会議が始まるときにはその会議のこと、報告書を書くときにはその報告書のことで頭がいっぱいになります。
そんなときには俯瞰(ふかん)して、「会議が終わったときに何が達成できていれば成功といえるか」とか「報告書を受け取った人が何をしてくれれば、書いた意義があったといえるか」などと考えてみましょう。
もし難しければ、「この会議がある場合とない場合で、どのような違いがあるか」とか「この報告書がある場合とない場合でどのような違いがあるか」と考えてみましょう。ある場合とない場合の差の最大化が、その活動の目的であることが多いです。もし何の違いもないなら、その活動は不要です。
こうして考えてみることで、会議で場当たり的な発言をしたり、報告書で自分が書きたいことに熱中してしまったりするよりも、二手三手先を考えた振る舞いができると思います。
いかがでしたでしょうか。ぜひ『機動戦士ガンダム』第2話「ガンダム破壊命令」を観てこちらをお読みいただければ、理解が深まることでしょう。
戦略における「資源」とは?
目的をきちんと考えるだけで、自分のすべきことや用意しておくべきことがわかりやすくなり、二手三手先を考えた行動に繋(つな)がってきます。
戦略を理解して勝率を上げるために、ふたつ目に重要なコツは、「資源」の把握です。
「達成したい目的があるのに、投入できる資源が限られている」ときが、戦略の使いどころです。ということは、ガルマ率いる北米方面軍がホワイトベースを叩こうとしたときのように「これで勝てねば貴様は無能だ」とつぶやかれるほどの戦力、すなわち総資源量を持っているなら、特に大した戦略がなくても大丈夫です。思いつくことを全部やればいいのです。