時間や空間は投入できる総資源量を限定するので、特に競合との相対的な強さを考える上ではとても重要な制約です。この制約を利用して、彼我の総資源量に大きな差があるときは、時間や空間が限定的な戦場を選ぶことで不利を覆(くつがえ)せることもあります。

 こうした資源の議論は、個人としても企業としても、「強くなるためには資源を増やせばいい」ことを示唆(しさ)しています。手持ちの時間や資金、気力や労力を使って、今は手元にない資源を手に入れればその分だけ強くなれます。知識は最たるものでしょうし、プロジェクトから経験値や人脈を入手するのもひとつの方法です。

書影『ガンダムでわかる現代ビジネス』(SBクリエイティブ)<br />音部大輔、田中準也、豊後祐紀著『ガンダムでわかる現代ビジネス』(SBクリエイティブ)
音部大輔、田中準也、豊後祐紀著

 この一年間で最も時間や労力を費やしたプロジェクトを振り返ったときに、自分やチームは何ができるようになったでしょう。そこで得られた経験値は、次のプロジェクトで資源として使えます。

 こうしてプロジェクトごとに経験値を獲得するのと、毎回一生懸命仕事をするけれど経験値を意識しないのとでは、大きな差がつきます。

さらにできるようになったな、ガンダム!」というのは、アムロと学習型コンピューターが経験を資源に変えたことを指しています。我々も、プロジェクトや業務を通してどのように資源を増やしていくか、意識できると強くなれます。

 戦略を「目的と資源」の観点から説明しました。具体的な活動や手段を考える前に、自分たちはどのような目的をどういった資源を運用して達成するのか、明確にしておくと成功の可能性が高まります。