穏やかに、ゆっくり話す方が、グイグイ迫ってくる印象は与えにくいはずです。
ここで、「言語情報」と「非言語情報」の違いについて知っておきましょう。言語情報というのは、「何を伝えるか」に主眼を置いた情報で、ことばそのもので伝えられるような情報を指すと考えてください。
一方、非言語情報というのは、「どう伝えるか」に主眼を置いた情報で、表情、声のトーン、ジェスチャー、アイコンタクトなどの話者の意図や感情をより深く伝えるための情報を指します。
学者によって見解は異なりますが、言語情報で伝わる割合は、おおよそ3割以下といわれています。
言い換えると、大半は非言語情報によって伝わるわけです。そして、タメ口はあくまでも言語情報。となると、非言語情報をどう活用するかが重要になってきます。
たとえ敬語を使っていても、非言語情報の部分に気を使って柔和な口調にしたり、ゆっくりと丁寧に話したりするなどの工夫をすれば、相手との距離感を調節することは可能です。
結局、タメ口を使えないことで不足する部分は、相手に対する敬意と思いやりを前面に出すことでカバーしていくことが可能なのです。
新敬語「○○っす」を使って
相手との距離を縮める
「いいっすね」「そうっす」のように、「○○です」の代わりに「○○っす」のような形を用いる、若い世代の男性を中心とした新しい形の敬語が存在します。
関東学院大学の社会言語学者・中村によると、この新敬語は、男性集団のように組織的な上下関係を尊重しつつも、親しさが求められるような状況のなかで使われるようになってきたとされています。
具体的には、男子体育会系集団のように上下関係が存在し、それが重んじられる組織・集団でよく使われます。
どうしてそのような集団で新敬語が使われるようになるのでしょうか?理由は、先輩や上司との上下関係を維持するために敬語を使うことが強く求められるからです。