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コンビニ各社は人件費高騰のダメージを回避すべく、省人化策を導入するなど試行誤を続けている。トップチェーンでロイヤルティーの割合の高いセブン-イレブンはどのように将来を見通しているのか。特集『揺らぐコンビニ3強 トライアルGOの衝撃』#7では、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料に示されていた、衝撃的な加盟店利益のシミュレーションを公開する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
通期の営業利益予想を下方修正
セブンは国内事業で苦戦
国内コンビニエンスストアのトップチェーンである、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の苦戦が続いている。
10月9日、セブン&アイ・HDは2026年2月期第2四半期決算を発表。26年2月期の営業利益予想は4240億円から、前年比4.0%減の4040億円に改めた。
下方修正の主な要因は、国内コンビニエンスストア事業にある。中間決算で発表された営業利益は、国内コンビニエンスストア事業のみ計画を下回っており、前年比4.6%減の1217億円。セブン-イレブン・ジャパンの26年2月期の営業利益予想は、300億円下方修正した2150億円に改めた。
決算会見の質疑応答では、国内コンビニエンスストア事業に質問が集中し、加盟店オーナーからセブン-イレブン・ジャパンに支払われるロイヤルティー、いわゆるチャージについても説明がなされた。
セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長は一部で報じられたチャージの減額について、「現在の契約に問題があるわけではない」としつつも、新たな契約形態の導入で、「既存店オーナーが複数店経営することを後押ししていきたい」と考えを明らかにした。
そのチャージと並び、加盟店オーナーの収入に大きく影響するのが、最低賃金の上昇による、人件費高騰である。目下、セブンに限らず、コンビニ経営の最大の課題だ。
チャージの割合や人件費などの経費の負担方法は、厳密にいうとチェーンによって異なるが、コンビニ会計の大筋は大手3社で共通している。
まず、加盟店オーナーは売り上げから仕入れ原価を引いた粗利益から、本部にチャージを支払う。さらに、本部へのチャージを支払った後の利益から、アルバイトの人件費や廃棄となった商品の一部原価などを負担し、残りがオーナーの利益となる。そのため、人件費の高騰はオーナーの収入を直撃する。
石破政権は20年代中に、最低賃金を1500円に引き上げる目標を掲げていた。もちろん、最低賃金が上昇しても、商品の値上げや粗利益率の改善などができれば、加盟店オーナーの収入は保たれるだろう。ただし、今後も緩やかにインフレが続くことは間違いなく、最低賃金の上昇と相まって人件費が上昇していくことは既定路線だ。
こうした状況はファミリーマートやローソン、11月に東京都内に上陸するトライアルホールディングス(HD)の新コンビニ「トライアルGO」にとっても同様だ。従って、各チェーンはその影響をかわすべく、試行錯誤を続けている。ローコストオペレーションが得意のトライアルHDは、培ってきた省人化策をトライアルGOにも導入する予定だ(本特集の#6『新コンビニ「トライアルGO」都内新規オープン店舗の気になる中身とは?導入予定の「2大省人化策」が判明』参照)。
今回、ダイヤモンド編集部はセブン-イレブン・ジャパンの内部資料を入手した。そこには、現在の売り上げや粗利率のまま、最低賃金が上昇した際のオーナー利益のシミュレーションが示されており、加盟店利益が現状の約3分の1に縮小するという、衝撃的な数字も並んでいた。
あくまでもシミュレーションであり、最低賃金の上昇によってオーナーの利益が確実に減少すると断定しているわけではない。しかし、前述したように、セブンーイレブンの足元の業績は不調であり、他チェーンよりも人件費高騰のインパクトは強いといえるだろう。次ページで、シミュレーションで示された金額を詳報する。







