タメ口を使用する動機も、この2つのタイプで大きく異なります。

 イケイケ型の人々にとってタメ口は場の雰囲気を和らげ、より親しみやすく話しやすい環境をつくり出すためのツールでもあります。人々の距離を縮め、より活発で自由な交流を促進することが目的なのです。

マイペース型の人にとって
「タメ口」は自己表現の1つ

 時には、この行動がカジュアルすぎると批判されることもありますが、多くの場合、彼らの意図は純粋に人々を楽しませ、場を盛り上げることにあります。

 また、イケイケ型は自分に自信があるため、会話の相手に対する優位性を確保する手段としてタメ口を用いる場合もあるでしょう。

 対照的に、マイペース型の人々のタメ口使用は、より個人的な選択に基づいています。彼らは、場の雰囲気や他人の反応にさほど関心を払わず、自分の信念や快適さを優先します。

 マイペース型の人々にとって、タメ口は自己表現の1形態であり、「これが本当の自分だ」という自意識の表れでもあります。

 社会的な期待や形式的なことば遣いに縛られることを好まず、自分のことばで率直に表現することを重視します。

 興味深いのは、これらの異なるアプローチが周囲にもたらす影響です。イケイケ型の人々のタメ口は、時として場の雰囲気を一気に打ち解けたものにする力を持ちます。しかし、場合によっては不適切と受け取られ、摩擦を生むこともあります。

 一方、マイペース型の人々のタメ口は、一貫性があるため、周囲の人々は、最初は違和感を覚えることがあっても、徐々に慣れていくことが多いです。

 彼らの率直さは、ときに新鮮で魅力的に映ることもありますが、形式を重んじる環境では不適応を引き起こす可能性もあります。

 結局のところ、大人になってもタメ口を使い続ける人々の心理を理解するには、その人の性格、価値観、そして社会との関わり方を総合的に見る必要があります。

 彼らのことば遣いは、単なる習慣や無礼さの表れではなく、むしろ彼らの目的や信念やアイデンティティーや世界観を反映した、複雑で興味深い現象なのです。