伝聞投資家のパニック売りで
「投資から貯蓄へ」の逆流も!?

 また、私は次のように考えた人のことも心配しています。

「米国一択ではちょっと怖いし、世界全体に投資できるオルカンが無難だろう」“世界の株式に投資”するオルカンですが、その国別配分比をみると、実は米国は6割以上のウエートを占めています(図1)。

図表1:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の国別配分比同書より転載
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 新NISA元年の2024年は米国株の上昇トレンドが続いた一方で、インドやブラジル、中国といった新興国市場は決して好調ではありませんでした。つまり、オルカンの右肩上がりは米国株の上昇によって支えられてきたともいえるわけです。

 もしも先々で米国株が下降トレンドに転じたとしたら、S&P500とオルカンがともに右肩下がりで推移していく可能性が高まります。それが現実となった場合、「必ず上がる」と信じ切っていた人たちは、「話が違う!」と思うのではないでしょうか?

 そして、「伝聞投資家」からパニック売りが相次ぎ、今度は「投資をやめるブーム」が発生してしまいかねません。長年国が旗を振り続け、新NISAの導入によってようやく「貯蓄から投資へ」のシフトが進み始めたわけですが、その逆流の発生が懸念されます。

世界最強の米国株は上昇し続ける
という根拠のない予測

 長く相場を見てきた人にとっては極めて当たり前のことですが、新NISAで投資を始めた人がイメージしづらい現実があります。それは、株価が下がり続ける局面も訪れるということです。

 特に米国株に対しては、「下がったとしても一時的な現象にすぎないはず」と思い込んでいる人は少なくなさそうです。