しかし、株式市場は必ず上がったり下がったりを繰り返すというのが歴史的事実であり、米国株もその例外ではありえません。過去10年間における米国株(S&P500)の推移を見ると、2022年はほぼ一貫して下降基調が続いています。

 さらに遡っていけば、2000年にITバブルの崩壊後、2006年に入るまで低迷が続きました。また、2023年以降、米国株はほぼ一貫して上昇し続けており、かなり割高な水準に達しているのも事実で、いつ流れが反転しても不思議はありません。

 しかも、こうした米国株の独り勝ち状態を牽引したのが半導体メーカーのエヌビディアを筆頭とする生成AI関連や一部のテック企業だったことも気になります。あまりにも期待感が高まったことで、そういった企業の株価が極端な上昇を遂げてきました。

新NISA「とりあえずS&P500とオルカン」は危険!トランプ関税パニックで「投資から貯蓄へ」の逆流が始まった『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓、宝島社)

 くしくも、米国株がかなり割高な水準に達したタイミングで、再びトランプ政権が誕生したことも懸念材料です。

 公約通りに高い関税をかければ輸入物価が急上昇してインフレが深刻化する恐れがありますし、前政権を完全否定する方向に動いているわけですから、これまでの流れをそのまま引き継ぐような株価の推移は考えがたいでしょう。