「日・アフリカ資源担当相会合」が開催された。日本政府は、(1)アフリカで石油や鉱物資源などを開発する日本企業に対し、5年間で総額20億ドル(約2060億円)を拠出、(2)今後5年間で1000人以上の技術者を育成、(3)鉱山周辺の環境保全などへの協力、などを含む「日アフリカ資源開発促進イニシアチブ」を表明した。

 日本は、福田政権時に54ヵ国を集めて「第4回アフリカ開発会議(TICAD)」を開催し、対アフリカODAの倍増を打ち出すなど、アフリカとの関係強化を目指してきた(前連載第2回を参照のこと)。日本の国連安保理常任理事国入りへのアフリカ諸国の支持獲得、日本企業の投資拡大による経済効果、そして資源確保の思惑があるからだ。だが、英仏など旧宗主国や中国が既に「既得権」を確保し、日本のアフリカへの本格進出は容易ではない。

中国とアフリカの長くて深い付き合い

 中国とアフリカの関係は長くて深く、実は1960年代に始まっている。この時期、アフリカ諸国は次々と独立した。アフリカの指導者の多くは、欧米列強による植民地支配から脱するために、社会主義の統治システムを導入し、中国・旧ソ連との関係を強化したのだ。また、中国のアフリカへの援助もこの時期に始まった。タンザニアとザンビア間を結ぶタンザン鉄道建設への援助が、その代表例である。

 90年代以降、「改革開放政策」が軌道に乗った中国は、急激な高度経済成長による国内のエネルギー消費量増加に対応するため、海外での石油とガスの権益確保を国家戦略とした。スーダンやナイジェリアなどアフリカ主要産油国に対して、原油、天然ガス、レアメタルなど希少資源獲得のための経済支援を始めたのである。

 そして2000年代以降、中国とアフリカの関係は資源に留まらず、より深く幅広いものになった。中国からアフリカへの輸出高は、2002年の50億ドルから2008年の500億ドルと10倍に増加した。いまや中国は、アフリカ諸国全体との貿易量においては米国を抜いて世界最大である。また中国は、アフリカでのインフラ整備にも積極的に投資している。