2013年は“100ドルスマホ”が新興国を席巻する――?

 今年2月にスペイン・バルセロナで開催された世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス2013」。そこで最も注目を浴びたアイテムの1つが、“100ドルスマホ”と呼ばれる低価格のスマートフォンに搭載される新基本ソフト(OS)だった。

 PC向けインターネットブラウザで有名なMozillaが開発する「Firefox OS(ファイアーフォックスOS)」、サムスン主導の「Tizen(タイゼン)」などがそれで、Webアプリに特化した簡易な構造が特徴だ。アンドロイドと比較して開発費用を削減できることから、“100ドルスマホ”と呼ばれる安い端末価格を実現できるという。これらのOSが搭載された端末が、今年の夏にも発売される、と報じられた記事(日経2013年2月26日付)を記憶している方も少なくないだろう。確かに、日本では端末価格5万円は下らないスマートフォンが100ドルで買えるとなれば、驚くべきニュースである。

 しかし、新興国では既に100ドルを切るアンドロイド端末が登場しており、さらに低価格な50ドル台のスマホが普及し始めていることをご存じだろうか。

いわゆる“50ドルスマホ”の1つである、フィリピンのローカル端末ブランド「Cherry Mobile」の携帯端末

 この“50ドルスマホ”の正体は、従来型の携帯電話(フィーチャーフォン、いわゆるガラケー)に、タッチパネルや無線LANなどスマホ的な機能を追加した“スマートフィーチャーフォン”と呼ばれるものだ。設計は台湾や中国の半導体メーカーが、生産は中国のODM(受託組立事業者)が、製品企画と販売は新興国のローカル端末ブランドが担当。すべてを1社で行う日本メーカーの垂直統合型ビジネスモデルとは対照的な、水平分業型のものづくりによって急成長を遂げてきた。この水平分業の中で、ソフトウェアの部分を手がけるのが、台湾のゼネラルモバイル(Gモビ)だ。

「Gモビは新興国のローカル端末ブランドと提携し、“スマートフィーチャーフォン”向けの各種コンテンツやアプリを提供しています。いまやアフリカ、東南アジア、ロシアなど約30ヵ国、約40ブランドに採用されています。価格はタッチパネル付きでも50ドル程度、安いものなら20ドル台で購入できる国もあります」

 こう話すのは、Gモビに出資をしている三井物産の次世代・機能推進本部インターネット事業部インターネット第三室の小菊健一室長だ。