東大合格者が中1から6年間やり続けた「たった1つの習慣」『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営について解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第52回は、大学受験における「スケジュールの立て方」を振り返る。

6年間変わらなかった、自作のスケジュール表

 東京大学現役合格のための「地獄の猛勉強」を期待して勉強合宿に挑んだ早瀬菜緒。しかし、勉強計画を自分で立てろという担任の水野直美の方針に反発し、早瀬は全く勉強しないまま1日を過ごすことになった。

 私は昔から、勉強のスケジュールを立てるのだけは得意だった。中学1年生の1学期期末テストから作り始めたスケジュール表のフォーマットは、高3の最後のテストまで変わらなかった。

 その構造は至ってシンプルで、縦軸に教科、横軸に日付を書く。両者が交わるところに「その日その教科ですべきこと」を記入していく。問題集であれば「問」、単語であれば「単」と、人に見せるわけでもないからとにかく省略して書いていった。

 これをファイルの中に挟んで、毎日終わるたびにその日達成したことを赤ペンで消していった。

 重要なのが、「どの教材をどのくらいやればいいのか」を意識することだ。自分の目標から逆算し、問題集や単語帳は何周する必要があるのかを考えた。それさえ決めればあとは機械的に埋めていく。

 数学の問題集は毎日、古文の単語は偶数日、世界史のノート見返しは3日に1回、という具合だ。特に問題集であれば、「51〜70」のようにその日やるべき問題番号を具体的に記入していた。

「あえて予定を入れない日」を、どう活用するか

漫画ドラゴン桜2 7巻P93『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 よく言われることだが、あえて予定を入れない日を作ることも大事だ。どうせ予定通りには行かないのだから、その期間にこなせなかった作業を消化する日だ。また、私は思考に没頭する日にもあてていた。数学の別解をひたすら考えてみたり、日本史の内容を深掘りしてみたりというように、つかの間の現実逃避タイムだ。

 とはいえ、受験勉強の計画は定期テストの計画のようにはいかない。範囲が膨大だし、目標があいまいだからだ。そのため、目標をどうしても抽象化せざるを得ない。

 しかしながら「○○大学に合格」だけでは、その後の深掘りが難しい。塾や学校がある程度のカリキュラムを作ってくれるとはいえ、最終的には具体的な計画を立てる必要がある。

 私が失敗した例で言うと、夏休みの勉強計画だ。全体を6週間に分割し、1週間ごとの目標と、教科ごとの目標を立てた。しかし、その目標が「時間をかければ合格点を取れるようにする」や「知識の総整理」のように非常に抽象的なものだったため、「今やっている勉強は何に結びついているのだろう」との疑念が拭えなかった。

 最初に「スケジュールを立てるの『だけ』は得意」と書いた。案の定スケジュールは破綻する。だが、それはスケジュールに追いつかなくなるものばかりではない。

 やっていくうちに、「この問題集は思ったより早く終わるな」とか、「この単語帳は単語数よりも時間をKPI(評価指標)に設定した方がいいな」ということに気づく。それは何より、共通の目標が自分の中で設定されているからだ。

 計画を立てることは、思考の出発点となるひな形が仮にでも用意されることだ。当たり前かもしれないが、この作業をサボっている受験生は多いように思う。

漫画ドラゴン桜2 7巻P94『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 7巻P95『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク