着るだけで「心臓病リスク」がわかる「魔法のシャツ」の真価【米大学の最新研究】写真はイメージです Photo:PIXTA

“スマートシャツ”で心臓病を予防

 心電図センサーが縫い込まれている“スマートシャツ”の着用が、心臓病のリスクが高い人の特定に役立つ可能性を示す研究結果が報告された。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のManuel Hernandez氏らの研究によるもので、詳細は「IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics」に3月11日掲載された。

 Hernandez氏らは、心臓病のリスクが高い人を特定するためのアルゴリズムの構築を目指しており、今回の研究では、運動に伴う心拍変動を測定できるウェアラブルデバイスとして、Carré Technologies社が開発した、心電図機能を備えているスマートシャツを実験に用いた。

 このシャツにより運動負荷前から負荷後の心拍数の変化を測定。運動負荷中に上昇した心拍数が、いかに速やかに低下するかという、心拍数の回復(heart rate recovery;HRR)の程度を評価した。

 なお、HRRは交感神経と副交感神経の活動のバランスの指標と考えられていて、HRRの低下は心血管疾患や代謝疾患に関係していることが多い。HRR低下を見いだすことで、心臓病ハイリスク者を特定できる可能性がある。

 研究には38人(年齢20~76歳、女性55.26%、高血圧患者7人)が参加。トレッドミルによる負荷後のHRRが28回以下(運動負荷終了後1分間での心拍数の低下が28回以下)の場合をハイリスクと定義した。機械学習を応用した解析の結果、このスマートシャツがハイリスク者の特定に有用であることが明らかになった(予測能〔AUC〕が0.86)。