脳は自分の状態が悪いと、「まずは自分を守ろう」とするモードになります。自分がダメージを受けていると、脳は相手に共感している場合ではない状態になってしまうため、共感力が下がってしまうのです。
つまり、普段から人に対して不平不満や、イライラ、怒りを持っていると、共感力が持ちにくくなり、脳が相手を認めようとしなくなってしまいます。
恋人や夫婦の間でたくさんのイライラや不満が募っていると、相手を受け入れることがなかなか難しいのは、脳の特性です。
共感力が下がれば、感謝を伝えることも難しくなります。
また、別の研究ではこんなこともわかっています。
自分がネガティブな状態だと、相手が(ネガティブな表情ではなく)ただ無表情だっただけでも、「相手はネガティブな表情をしている」と認知してしまうそうです。
相手は普段通りのはずなのに、見ているだけで腹がたってくることがあるのはこういう脳の特性が影響していたのです。
共感力は48歳がピークです。これはハーバード大学の研究でわかっています。そこからだんだん共感力は下がっていきます。
共感力を鍛えると
人間関係がラクになる
もともと人は、公平性を欠く出来事があると、相手を攻撃したくなる気持ちが生まれやすいそうです。
仕事で、自分はがんばっているのに、チームメンバーでがんばりが足りない人を見ると、その人のことを攻めたくなるのもその理由です。
夫婦の間で、家事の分担や子育ての比率に公平性を欠いていると判断すると、相手への攻撃性が増すのには理由があったのです。
敵対している人が不幸になると脳の報酬系が活性化して喜びを感じるのです。攻撃性が強い人は、こういう傾向が強い人です。
でも一方で攻撃性が強くならない人もいます。
それは、出来事や人に対して「視点を多く持っている人」でした。
視点が多い人ほど、しかめっ面が減り、笑顔が増えるなどポジティブな感情を持つことが多く、相手からもストレスを受けづらくなることがわかっています。